パソコンは共有18.1%・専用5.1%・配布19.9%…小学生が家庭内で自由に使える通信機器の実情
インターネットの普及により自分の目の前にいない人との簡単な意思疎通や対戦ゲーム、蓄積性や検索機能を利用した情報の幅広い活用が可能となった。そしてその利便性は子供達にも容易に享受されているのが現状。今回は学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」(※)の結果から、小学生が家庭内で自由に使える通信機器の実情を通し、子供達のインターネットの利用状況を確認する。
次に示すのは小学生が家庭内で自由に使える通信機器(今件ではインターネットに接続可能なものを意味する)を複数回答で尋ねたもの。「(共有)」とは家族との共有、「(専用)」とは小学生専用、「(配布)」とは学校や塾から配られたものを意味する。他にインターネットを利用できるテレビなどが想定可能だが、すべて「その他」で包括されている。また各端末種類の選択肢の「(子供)専用」「(配布)」において、保護者などによって何らかの利用制限が設けられている可能性はある。なお学校や図書館など、家庭外での利用については対象外となっている。グラフの機種の並びは元のデータのものを準用している。
小学生専用のゲーム機(携帯型・据置型を問わず)は26.6%。他の調査結果から勘案するに、ゲーム機(共有)は多分に据置型、ゲーム機(専用)は携帯型がメインだろう。スマートフォンは利用可能な機能が多いことやコストがかかるが、スマートフォン(専用)の方が高い値を示しているのは意外ではある。フィルタリングに期待している面もあるのだろう。また仮に(共有)と(専用)で同一回答者がいなかった場合、小学生の4割強がスマートフォンを使っていることになる。
パソコンは(専用)が5.1%にとどまっているが、(共有)は18.1%、そして(配布)が19.9%。(共有)は保護者が普段使っているパソコンか、お下がりとなった旧端末を保護者と共有する形で使わせてもらっているのだろう。
タブレット型端末ではパソコンと比べて、(専用)と(共有)、(配布)の差が小さなものになっている。低コストでスマートフォンの延長上のように使えるので、保護者も容易に子供専用のものを調達できるからだろうか。
また9.5%は無しと回答している。つまり小学生の1割近くは家庭内では自由に使える通信機器=インターネット接続機器が無いことになる。
パソコンとタブレット型端末、スマートフォンについて、属性別に区分して確認したのが次のグラフ。
パソコン(共有)(専用)は女子より男子の方が値は高い。しかしタブレット型端末やスマートフォンはおおよそ女子の方が高い値を示している。男子と女子との間の通信機器への好き嫌いの違いが出ているのだろう。特にスマートフォン(専用)では男女の差が大きく出ていることから、女子の方が保護者に見られたくないとのプライベートに対する思いが強いと考えられる。
学年別に見ると、パソコンは(共有)(専用)(配布)を問わず、学年が上がるに連れておおよそ値も増えていく。パソコンを使いたいという子供の気持ち、あるいはパソコンを使わせてもよいとする保護者の判断は、子供の年齢とともに増加していくのだろう。
タブレット型端末(共有)は学年別で見ると、小学1年生~小学4年生ではパソコン(共有)よりも高い値を示している。また(専用)に限ればタブレット型端末は全学年でパソコンより高い値。コストの安さや使いやすさが保護者から受けているのか、スマートフォンと似たような操作方法が受け入れられやすいのだろうか。
スマートフォンについて学年別に見ると、(共有)は大体2割足らずとの値を示している。子供が要望してではなく、保護者がむしろ何らかの理由(例えば動画視聴目的)で貸し与え、共有する形で使っている可能性はある。他方(専用)は一部イレギュラーが生じているがほぼ高学年になるに連れて値が高くなり、小学6年生では51.5%に達している。小学6年生の過半数が自分専用のスマートフォンを持ち、少なくとも家庭内では自由に使えるのが現状ではある。
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※小学生の日常生活・学習に関する調査
2023年10月27日から11月1日にかけてインターネット経由で、小学生の子供がいる保護者を対象として保護者付き添いの下で小学生本人が回答するように答えてもらったもので、有効回答数は1200人。男女別・学年別で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。
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