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37歳のFA一塁手に5球団が興味!? 13年連続OPS.800以上が途切れ、今年は.716だが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ポール・ゴールドシュミット Aug 10, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5年1億3000万ドル(2020~24年)の契約が満了し、ポール・ゴールドシュミットは、セントルイス・カーディナルスからFAになった。

 これまでは、アリゾナ・ダイヤモンドバックスとカーディナルスでプレーしてきた。14シーズンに362本のホームランと446本の二塁打を打ち、出塁率も.381と高い。一塁を守り、ゴールドグラブを4度受賞。2022年は、MVPに選ばれた。

 ただ、メジャーリーグ2年目の2012年以降、シーズン出塁率が.345を下回ったことはなかったが、2024年は.302にとどまった。この数値は、1年目の2011年と比べても、30ポイント以上も低い(.001=1ポイントとして表記)。メジャーデビューから13シーズン続いていた、OPS.800以上も途切れた。しかも、大きく下降している。2024年のOPSは.716だ。9月には、37歳の誕生日を迎えた。

 それでも、ゴールドシュミットに興味を抱いている球団は、少なくないようだ。USAトゥディのボブ・ナイテンゲールは、12月20日に、ニューヨーク・ヤンキース、シアトル・マリナーズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ワシントン・ナショナルズ、ニューヨーク・メッツの5球団を挙げている。

 報道のとおりだとすると、これらの球団は、すでに30代後半ながら、2024年の出塁率やOPSは一時的なダウン、と見ているのかもしれない。また、全体に低調とはいえ、2024年のホームランは22本、二塁打は33本を数えた。出塁率が低くても、まだそれなりのパワーを発揮するはず、という見方もできる。

 加えて、今オフのFA市場に出た、他の一塁手の動向もある。もしかすると、いくつもの球団がゴールドシュミットに目をつけている最大の理由は、これかもしれない。

 大物の一塁手2人のうち、クリスチャン・ウォーカーは、ヒューストン・アストロズと3年6000万ドル(2025~27年)の契約で合意に達したようだ(「ここ3年に95本塁打の一塁手を3年6000万ドルで迎え、生え抜き三塁手との再契約は消滅か」)。パワーではウォーカーに勝るピート・アロンゾは、FAのままだが、迎え入れるには1億ドル以上の契約が必要だろう。

 そこで、アロンゾ以外の選択肢として、ゴールドシュミットが浮上する、という図式だ。

 カルロス・サンタナジャスティン・ターナーユリ・グリエルの3人は、ゴールドシュミットより年齢が上だ。ジョシュ・ベルは、まだ32歳ながら、ホームランの本数は、ここ4シーズンともゴールドシュミットに及ばない。35歳のアンソニー・リゾーは、2024年に92試合で8本塁打、出塁率.301、OPS.637だった。

 なお、ゴールドシュミットがヤンキースに入団すると、来シーズンのヤンキースが擁するMVPの受賞者は、3人から4人に増える。それについては、こちらで書いた。

「ドジャースに続き、ヤンキースも野手のMVPトリオを結成。ジャッジとスタントンにベリンジャーが加わる」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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