【F1】ハミルトンとフェルスタッペンは1点差。F1で久しぶりに展開される強烈なライバル対決!
F1・第2戦「エミリア・ロマーニャGP」はウェットコンディションのレースで始まり、接触、クラッシュによる赤旗中断、一度コースアウトしたルイス・ハミルトン(メルセデス)のドラマティックな復活、などなど見所満載のレースになった。
やはり今季のF1は面白いと感じる。実際にそう思っているファンは多いのではないだろうか?
フェルスタッペンvsハミルトン
「エミリア・ロマーニャGP」を制したのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。開幕戦・バーレーンGPではルイス・ハミルトンの底力に敗れる形となったが、フェルスタッペンは絶対に負けられない第2戦に勝利した。
ただ、この優勝までのプロセスは順風満帆だったわけではない。金曜日のフリー走行ではドライブシャフトのトラブルに見舞われ、早々にピットで修復作業を強いられ、様々なシミュレーションを行う時間をフイにしていた。
さらに公式予選ではチームメイトのセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)に敗れてフロントロー獲得ならずの3番手。決勝では赤旗中断後のリスタート直前でハーフスピンするなど綱渡りの週末だった。
とはいえ、いざレースがスタートすれば、フェルスタッペンの速さはもはや別格。2番手以降に20秒以上のマージンを築いての素晴らしい優勝を飾ったのだ。
2位でフィニッシュしたのはなんとルイス・ハミルトン。周回遅れを抜こうとした際に路面の濡れている部分に乗って、まさかのコースアウト。万事休すかと思われた所でバルテリ・ボッタス(メルセデス)とジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)のクラッシュが発生して赤旗が提示。ハミルトンはまさにこれに救われた形でポイント圏外への陥落を免れた。
そして8番手からのリスタートとオーバーテイクショーはすさまじく、ワールドチャンピオンらしからぬ一瞬のミスを強運と攻めの走りでチャラにしてしまった。最終的には最速ラップのボーナス1点を獲得し、ドライバーズ選手権でハミルトンは1点差の単独首位に立った。
強烈なライバル対決はファンを惹きつける
2014年にパワーユニット規定が導入されて以来、F1では「メルセデス」が常に独走状態を築いてきた。ルイス・ハミルトンが王者を失ったのは2016年の1年だけ。この年ワールドチャンピオンに輝いたのはチームメイトのニコ・ロズベルグだった。
2014年以降、ドライバーズ選手権の年間ランキング2位以内にメルセデス以外のドライバーが入ったのは2017年、18年のセバスチャン・ベッテル(当時フェラーリ)だけ。特に18年はベッテルが開幕から2連勝を飾るなど波に乗り、メルセデスを凌駕するかと期待されたが、17年も18年も夏以降はハミルトンが盛り返し、ベッテルが失速するという状態になってしまった。
異なるチームに所属する主役級のドライバー2人が常にマッチレースを展開すれば、そのシーズンは大きな盛り上がりを見せ、多くの人々の心に残り、のちに伝説のシーズンとして後世のファンにも伝えられることが多い。
映画にもなったジェームス・ハントvsニキ・ラウダの戦い(1976年)、アイルトン・セナvsアラン・プロスト(1990年)、ミカ・ハッキネンvsミハエル・シューマッハ(1998年)など突出した2人が異なるチームで争ったシーズンは記憶にも残りやすく、伝説のシーズンと呼ばれる。
誰が勝つか分からない混戦で3人、4人がチャンピオンを争うシーズンも確かに面白いが、そういうシーズンはリザルトを見返さないと記憶を辿れないことが多い。多くのファンの記憶はそのシーズンの序盤戦とチャンピオン争いが佳境に入る終盤戦の展開に集中しているからだ。
今季は23戦が予定されているので、2戦を終えた段階でシーズンを見立てることはできないが、ハミルトン、フェルスタッペンが速さ、結果につなげるしぶとさ共に突出しており、久しぶりにマッチレースに期待したいシーズンになっている。
また、日本のファンにとってみれば、ハミルトンvsフェルスタッペンは「メルセデスvsホンダ」の構図であり、特に参戦ラストイヤーのホンダに対する期待は大きい。考えてみれば日本のメーカーがチャンピオン争いの主役級にいるなんて、それこそ30年前の1990年前後にホンダが第2期F1活動で大活躍した時以来だ。日本のファンはこの貴重なチャンスを見逃してはいけないと思う。
次戦のF1は4月30日(金)〜5月2日(日)開催のポルトガルGP(アルガルヴェ)。昨年初開催となった同サーキットのレースではルイス・ハミルトンがポールトゥウインを達成、メルセデス1-2フィニッシュを果たしたが、その牙城を崩し始めたレッドブル・ホンダに期待したい。