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バルサとレアルを撃破。アスレティックにマルセリーノの就任で訪れた変化と覚醒したイニャキ。

森田泰史スポーツライター
得点を喜ぶイニャキ(写真:ロイター/アフロ)

レアル・マドリーとバルセロナを、撃破した。

アスレティック・ビルバオがスペイン・スーパーカップを制した。準決勝でマドリーを、決勝でバルセロナを破り、堂々の戴冠だった。

「メッシのバルサ」に勝利したアスレティックだが、時を遡れば、「マラドーナのバルサ」に勝った過去がある。1984年にサンティアゴ・ベルナベウで行われたコパ・デル・レイの決勝で、アスレティックはバルセロナを1-0と下して優勝を飾った。

準決勝のマドリー戦
準決勝のマドリー戦写真:ロイター/アフロ

■エースの覚醒

「僕たちはマドリーとバルサを倒した。決勝では、多くのマイナス要因を乗り越えられた。僕たちは良いプレーを見せたし、何より、自分たちを信じていた。新しい監督の提唱するプレースタイルは素晴らしいものだ」

イニャキ・ウィリアムスは、決勝後にそう語っている。

そのイニャキの決勝点で、アスレティックにタイトルがもたらされた。エルネスト・バルベルデ、ホセ・アンヘル・シガンダ、エドゥアルド・ベリッソ、ガイスカ・ガリターノ...。歴代の指揮官は常にイニャキを信頼していた。

2016年4月17日以降、イニャキはリーガエスパニョーラでの試合出場を続けており、175試合連続の出場記録を誇っている。

就任したマルセリーノ新監督(右)
就任したマルセリーノ新監督(右)写真:ロイター/アフロ

■マルセリーノ新監督の就任

また、イニャキが語ったように、今季のアスレティックにとって大きかったのが監督交代だ。

ガリターノ前監督に代わり、マルセリーノ・ガルシア・トラル新監督が就任した。初陣となったリーガ第2節延期分のバルセロナ戦では、2-3と敗れたものの、すでに可能性を感じさせていた。そして、就任からわずか12日で、アスレティックをタイトルホルダーに導いた。

マルセリーノ監督の基本布陣は【4-4-2】だ。近年、ビジャレアル、バレンシアでそのシステムで成果を挙げた。

【4-4-2】の3ラインで全体をコンパクトにする。連動したプレッシング。ショートカウンター。それがマルセリーノ監督の生命線だ。

中盤で重宝されそうなのはウナイ・ベンセドールだろう。ビジャレアルでブルーノ・ソリアーノ、バレンシアでダニ・パレホがマルセリーノ監督のチームで核になった。そのタスクが、ベンセドールに課されるはずだ。

それから、イケル・ムニアインだ。ムニアインは前線と中盤で起用される可能性がある。前線で起用されればバレンシアでロドリゴ・モレノが担っていたようなセカンドトップの役割を、中盤であればビジャレアルでサム・カスティジェホが担っていたような攻撃をオーガナイズするサイドハーフの役割を与えられるだろう。

優勝を飾ったアスレティック
優勝を飾ったアスレティック写真:ロイター/アフロ

■カンテラーノと若い力

シーズン前半戦が終わった段階で、18名のカンテラーノがアスレティックでプレーしていた。

レアル・ソシエダ(16名)、バルセロナ(12名)、セルタ(12名)、ビジャレアル(11名)を凌いで、国内ではトップの数字だった。

マルセイユ(12名)、ケルン(11名)、サンテティエンヌ(11名)、サウサンプトン(10名)、マインツ(10名)と国外を見てもアスレティックのカンテラーノ数は群を抜いている。

元来、バスクの人々は屈強で勤勉で規律正しい。それはマルセリーノ監督の思想と合致する。そこにカンテラーノの若い力が加わる。アスレティックがどこまでいくのか。今後も、目が離せない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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