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帝京大学・竹山晃暉、大学選手権10連覇へ「悔しさを忘れない」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
パスをもらう際のポジショニングに定評がある。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 敗戦の記憶を抱きしめる。

 大学選手権9連覇中の帝京大学で副キャプテンを務める竹山晃暉は、5月20日、今年の関東大学春季大会で初先発。一昨季まで2シーズン連続で選手権決勝の相手となった東海大学を69―7で破った(東京・帝京大学百草グラウンド)。

 定位置の左ウイングに入った竹山自身も、持ち前のランニングスキルや得点への嗅覚を示して3トライを奪取。しかし当の本人は、手狭なスペースで防御を破れなかったことなどを悔やんでいた。

 自らのパフォーマンスに満足しない背景には、4月30日の春季大会初戦も存在していよう。4月30日、北海道・札幌ドームで昨季選手権準優勝の明治大学に14―17で敗戦。欠場していた竹山は、この一戦を給水係として見届けた。

 御所実業高校時代から鋭い走りを繰り出してきたエースが、東海大学戦後、明治大学戦への思いや今後の抱負を語る。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――試合、いかがでしたか。

「10点満点でいいですか? …1点です。きょうはマインド、体調の部分がよくなかったのかなということが少しあるんですけど、そういう状態でも自分のパフォーマンスを落とさずできるということが(本来の)4年生だと思いますし、きょうは僕自身が流れをつぶしてしまったと言ってもおかしくはないので、そういうところは、直していきたいです」

――確かに、パスをもらったままタッチラインの外へ出てしまうシーンもありました。

「ボールのもらい方は工夫したい。いままで作ってきてもらっていたスペースというものを自分で作りながらやらないといけないかなと思う。尾崎選手(晟也=昨季までの正フルバックで前副キャプテン)についていくというのがいままでの自分だったので」

――攻撃ラインの整備については。

「なかなかきれいなラインが作れなかったり、つなぎ目が雑になったり。そういうことが続くと、強い相手に対してはミスが起きてくる。それが、相手のスコアにもつながる。そこは、見直していきたい。そういう意味でも、きょうはいい相手と戦えてよかったと思います。こうしてグラウンドへたくさんの方に観に来ていただくことはモチベーションにもなります。観に来ていただいているからというわけではないですが、観に来ていただいている方へしっかりとしたパフォーマンスを出すことで、これから大学選手権10連覇へ向かっていくための入口に立てると思う」

――改めて、明治大学戦はどう振り返りますか。

「僕はウォーターボーイとしてグラウンドにいたのですが、リーダーとしてあの試合に出られなかったことは悔しいですし、あの試合を負けてしまったことはもっと悔しいです。やはり一番大事なのは悔しさを忘れないことだと、チームに話しています。ゲームに勝ってしまったり、いいゲームをしたりしてしまうと悔しさが薄れてしまうと認識しています。そういう現象が起きないような雰囲気を上級生から作っていこうと思いました。練習でひとつひとつの精度(にこだわる)。今日もつなぎ目の部分できれいに繋がらなかったり、自分たちから崩れていっている部分がありました。それに明治大学との試合では、自分たちの実力不足もありました。そこは伸びしろと捉えてやっていきたいです」

 根本的な敗因を「丁寧さ」の欠如と見て、練習中の細部へのこだわりを再徹底する。竹山の「悔しさを忘れない」は、そういう意味だろう。

 帝京大学は、上級生が下級生を育てる文化を強みとしている。最上級生となった竹山も、今季の目標を語る時は「若い選手を成長させる」との視点を持つ。

「僕自身は1年生の時、『10連覇をしたい』とここの門をくぐっています。それを有言実行できるようにしていくための行動をしていきたいです。若い選手をどう成長させるかにも関わっていきたいです。来年、再来年が楽しみなメンバーだと思うので、今年しっかり力をつけてもらうようにして、10連覇にもつながる活動ができたらと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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