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「セクシー田中さん」問題 原作・脚本・出版・テレビの視点は #専門家のまとめ

河村鳴紘サブカル専門ライター
芦原妃名子さんの「X(旧ツイッター)」

 昨年に放送されたドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)で、原作マンガを手掛けた芦原妃名子さんが、SNSで自らドラマの脚本を執筆した経緯などを説明した後で亡くなった問題。原作(マンガ家)や脚本家、テレビ局、出版などそれぞれの立場で考え方に違いがあります。

▼時系列を整理し、今回の炎上の流れを説明。メディアが悲劇の“導線”になったと考察、ネットにも警鐘を鳴らしています。

▼マンガ家・佐藤秀峰さんの記事。自身が経験したトラブルについて、生々しい例を挙げながら、過去に受けた誹謗中傷にも言及。

▼脚本家・伴一彦さんが取材を受けた記事。脚本家の考え方や立場に触れながら、原作サイドとのすれ違い対策にも提言あり。

▼テレビ局と出版社の事情を解説。さまざまな考え、立場の違いがあるのはもちろん、原作者の考えもかなり違うのが分かる。

◇まとめ

 ドラマ「セクシー田中さん」の問題は、二つに分けて考えると良いのではないでしょうか。一つは、ドラマが原作者の要望と違った制作の問題。もう一つは、悲劇を食い止められなかったことです。

 判明している情報を見る限り、芦原さんの死に直結したのは、ドラマの脚本トラブルよりも、SNSでの炎上と推測できます。芦原さんの最後のポスト「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい。」は、世間に向けた言葉に取れます。しかし関係者への攻撃はまだ続いています。

 もちろんドラマの制作時の問題について、日本テレビは引き続き詳細な説明を求められるでしょう。ですが仮にドラマ制作の問題が改善されても、ネットで落ち度のある人を攻撃する「うねり」になる問題は、そのまま残ります。

 SNSは問題にスポットライトを当てるプラスの面もありますが、極端な意見やトラブルネタが話題になり、理性的な声は広がらないなどマイナスの面も無視できず、大変悩ましいところです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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