日本の有休の消化日数と消化率はワースト2:日本人の労働観と心の健康
■日本の有休の消化日数と消化率、7年連続最下位に終止符だが
この調査によると、日本はワースト2でした。この記事に下記のようなオーサーコメントを書きました。
最下位は脱出しても、あいかわらず低い。さらに問題なのは、有給休暇に罪悪感を感じていること、また日韓ともに仕事への満足感が低いことだ。
日本では、会社は「家族」のようなものであり、一致協力が求められ、定時に帰ることも罪悪感を感じさせる心理的圧力があるだろう。仕事が楽しいのならまだしも、「空気」を読んでサービス残業し、有給休暇を取らないのは、心身にダメージを与える。
仕事に熱心なのはとても良い。しかし、たとえばプロ野球のピッチャーは、試合後は次の試合のために体を休める。しっかり肩を休ませなければ叱られるだろう。体調管理は、プロの大切な仕事だ。「腕よ折れよ」とばかりに投げる高校野球は感動的だが、プロは違う(高校野球も再考を始めた)。
それは、本来サラリーマンも同様だろう。「休むのも仕事」である。「過労死」などという言葉が、昔話になることを願いたい。
(碓井真史 2014/12/11)
■日本的労働観
日本や、他のアジア諸国にも見られますが、生徒達は自分の教室の掃除をします。掃除は、教育の一つです。師匠に弟子入りした人が、最初に掃除を担当するように、掃除は教育であり、修行の一環です。これが、日本の労働観でしょう。
仕事は尊いことであり、仕事をしないこと、遊ぶことは罪悪です。
会社への滅私奉公といった感覚は以前よりは下がっているでしょうが、それでも会社を「家族」のように見る感覚は強いでしょう。テレビドラマなどでも、次々と転職しステップアップしていく人は、悪玉に描かれ、主人公は良い職場から誘いを受けても、結局元の職場に残ったります。
会社は、家族であり、仲間であり、だからみんなで苦労を分け合い、協力し合います。他の人が残業しているのに定時で帰るときには、「すいません」と申し訳なさそうに帰ったりします。
職場の仲が良いのは、良いことです。仕事熱心も大変良いことです。しかし、心身ともに疲れているのに、有給休暇や提示帰宅をすれば周囲から責められると感じて休めないのは、大きな問題です。
過労死は。KROSIとして世界的に有名になってしまいましたが、休めない日本人の考え方が、災いしているのでしょう。
エクスペディアジャパンの調査によると、さらに日韓の仕事への満足感が低いと出ています。向上心や使命感で熱心に働いていた人でも、疲れが重なると、仕事の充実感もやる気も失うのかもしれません。
心理学の研究によれば、同じ仕事量でも、「やらされ感」が強いと心身へのダメージが大きくなることが分かっています。
■休むのも仕事
新潟県中越地震のボランティアさんから聞いた話です。夜も寝ないで、満足に食事もしないで、そのボランティアさんは働き続けました。尊い働きだと思います。しかし、数週間たつうちに、疲労困ぱいしていきます。
そのとき、自衛隊の人を見たら、みんな相変わらず元気だったそうです。彼らはどれほど体を鍛えているのかと驚いたそうですが、実はそうではなく、自衛隊のみなさんはしっかり休んでいました。
いつ帰れるのかわからない、どんな大変な事態が発生するわからない。だから、何が起きてもすぐに対応できるように、しっかり交代し、休み、体調を整えていたそうです。ともかく動いていないと気が済まなかった自分と、しっかり休むこと、待機することも大切なことだと心得ていた自衛隊員の違いを感じたそうです。
私たちも、しっかりプロの仕事をしたいと思います。「休むのも仕事」です。「無事これ名馬」です。命を大切に、働き続けたいと思います。