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あっさり終わった栄養指導から「食べる機能を把握すること。作る人の負担を減らすこと」が大事な話

めぐねこ介護頑張る栄養士/ライター

簡単にできる介護食を日々、考えているめぐねこです。介護食を考えていると時々壁にぶつかります。「同じような食事が続く…同じ味付けが続いている」そんなときは介護食を考えるきっかけになった出来事を思い出し、初心に戻ります。今回は私が初心に戻る出来事をご紹介します。

わが家の介護メンズが摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)を発症して、今までのように外食や硬いもの、塊の肉など食べれなくなりました。ただ手術で口から食べる機能をお医者さんが残してくれました。手術前は「口からの食事は難しくなる」と覚悟していました。ですが先生は「口から食べる機能を残すことができたので後は本人のリハビリ次第」と言ってくれました。

口から食べられなくても直接胃や腸へ栄養を直接流し摂取できるものも多くあります。ですが食事が楽しみな介護メンズは「食事の楽しみがなければつまらない。楽しくない」と言いました。手術後1か月以上、口から食べられず点滴で栄養を体に取り入れていました。なので他の患者さんの食事の時間が苦痛だと…。

また入院中に介護メンズは私が栄養士であることをお医者さんに伝えていました。(知らないうちに…)なので病院での栄養指導も、あっさりと簡単に「同業者ならわかりますよね」という具合で終わりました。確かに普通の方に比べたら、どのようなものが介護食に向いているかわかりますが、大事なのは「食べる人の食べる機能をしっかり把握している」ことなんですが、その辺は深く掘り下げられず…。

「食べる機能」は個人差があります。普通の食事を食べている人でも個人差があります。(硬いものは苦手、パサパサしたものは苦手など。)なので病気で食事に制限が出てくると個人差だけでなく体調次第で食べられたり、食べられなかったりします。

お粥で考えても、お粥を作った時にできる重湯(おもゆ)だけがいいのか、お粥の米の割合が変わる「3分がゆ」「5分がゆ」「全がゆ」とお粥1つとっても種類が多いです。これに水分を多めに炊いた柔らかいごはん、普通のごはんと主食のお米だけで考えてもこれだけ選択肢があります。

これにおかずを考えると、正直パンクしてしまいます。

なので私は入院中の食事の時間に面会に行き、実際に病院で出されていた食事を写真に撮ったり、献立カード(お粥の種類やおかずの名前が書いてあります)などを持ち帰り、退院後の食事について「安全に、かつ自分が楽に食事を作れるか?」と考え試行錯誤していきました。退院後は毎食、献立をノートに書いて食べられたものにマルをつけたり、改善点を書いたり。

仕事なら「仕事」と割り切って献立を考えて提供できますが、家族の食事なのに仕事と同じことを求められるとストレスにしかなりませんでした。そこで私は「いかに自分が楽をして、介護メンズも安心して食べてもらえるか?」

介護にばかり時間は割けません。食事を作る人の負担を少なく、手作りっぽいもので介護メンズを満足させる食事作りは私の日々の課題となりました。

介護はいつ始まり、いつ終わるかわからないので終わりが見えず、心が折れそうになるときもあります。レトルトや冷凍食品もありますが、少々値段がお高くなります。お財布にも優しく、どこでも手に入る材料で食べやすいものをこれからも試して紹介していきたいと思います。

介護頑張る栄養士/ライター

栄養士。家族の介護をきっかけにスーパーやコンビニで手軽に買える食品で介護食を作っています。むずかしいと思われる介護食を美味しく、簡単に、お金をかけずにをモットーに作っています。また自分の経験をもとにライター活動もしています。

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