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阪神の1軍野手が参戦したフェニックスリーグ 9戦全敗の韓国・斗山に大敗

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

きのう21日の宮崎も試合途中まではいいお天気で、フェニックスリーグは各球場とも熱戦が繰り広げられました。阪神はアイビースタジアムで韓国の斗山ベアーズと対戦。ここまで0勝9敗の斗山だけに楽勝かと思いきや…秋山投手と梅野選手の同級生バッテリーが、なんと5回8失点!エラーが絡んでいたので仕方ないとはいえ、自分自身のミスもあったため余計に悔しいでしょう。なお今リーグ初白星の斗山は試合後、ベンチ前で大盛り上がり。MVPか何かの賞金でも出たのか、拍手喝采でした。

この試合のあと、サンホテルフェニックスで行われた平田監督や北條選手が出席の『侍JAPAN 21U ワールドカップ出場登録選手発記者会見』を取材して、私はいったん宮崎を離れました。西宮での仕事が終わり次第、残り4試合(練習試合を含む)を見に再び出かけます。今度は宮崎も結構冷えるかもしれませんねえ。なお“平田JAPAN”の会見については、また別で書かせていただきます。

宮崎を離れたといえば、原口選手が20日の休日に鳴尾浜へ帰りました。18日の巨人戦で9回に中前打したんですが、何度も牽制されて帰塁した時に右肩を少し痛めてしまったようです。その日のキャッチボールイベントは欠席したものの、翌19日の朝の素振りや試合前練習にも参加(捕球のみ、打撃もなし)。20日の午後に帰っています。ただしこれは山下トレーナーいわく、検査のための帰阪。そして診察結果は「問題なし」とのことです。

いや~よかったですね。関節などを痛めていたら大変だったところ。きょう22日の鳴尾浜では短い距離でのキャッチボールもしていたと聞きました。試合で3割、5本塁打ってのはできなくなったけれど、この際しっかり治療に専念して、秋季キャンプで安芸へ行くことを目標にしましょう。

では、既にきょう22日の試合も終わっている時間ですが(ヤクルト戦、鶴投手が先発して3対2で勝利)、21日の斗山ベアーズ戦の結果と投手2人のコメント、そして田上選手の話も書いておきます。

《フェニックスリーグ》10月21日

斗山-阪神  (アイビー)

阪神 000 000 000 = 0

斗山 003 050 000 = 8 ※特別ルール  

◆バッテリー

【阪神】秋山-藤原-白仁田-田面 / 梅野

【斗山】ジン・ヤゴブ(6回)-ビョン・ジンス(1回)-チェ・ビョンウク(1回)-キム・カンユル(1回) / ジャン・スンヒョン-ヤン・ウィジ(9回表)

◆二塁打 チェ・ヨンジン、キム・ジョンヒョン 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]左:俊介  (3-0-0 / 0-1 / 1 / 0)

2]一三:荒木 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 1)

3]三:今成  (0-0-0 / 0-2 / 0 / 0)

〃三二:西田 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

4]遊:陽川  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 1)

5]捕:梅野  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

6]右:伊藤隼 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]二一:北條 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

8]指:中谷  (3-1-0 / 2-1 / 0 / 0)

9]中:田上  (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

〃中:一二三 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ

秋山  5回 77球 ( 7-4-1 / 8-5 ) 144

藤原  1回 16球 ( 0-2-0 / 0-0 ) 141

白仁田 1回 12球 ( 1-0-0 / 0-0 ) 142

田面  1回 11球 ( 0-1-0 / 0-0 ) 140

9連敗中の斗山に初勝利をプレゼント…

先発・秋山は1回、2回と三者凡退の立ち上がり。ところが3回は7番と8番に連打を許し、続く犠打を秋山は三塁へ送球しますが逸れてセーフ(記録は野選でなくエラー?)。無死満塁となって1番の遊ゴロを陽川が二塁へ悪送球。これで2人を還し、なおも無死一、三塁。2番の右犠飛でもう1点追加されたあと後続は断ったものの、この回3失点。自責は1と思われます。

4回は低めにいい球が入って2奪三振の三者凡退だった秋山。しかし5回にまたビッグイニングが来てしまいました。先頭の8番に三塁線を破る二塁打を浴び、犠打で三塁へ。続く1番に中前タイムリー。2番はファースト内野安打と、荒木の二塁への送球エラーで1死二、三塁。3番に死球を与えて満塁となり4番が中前タイムリー。ついで5番の中犠飛、2死一、二塁で6番が左翼線二塁打!1人還って、送球の間にもう1人。打った本人も三塁へ進みますが、7番の一ゴロでようやく終了。この回は打者9人で5安打5失点、秋山のトータルは7安打8失点、自責5でした。

6回は藤原が連続三振と遊ゴロの三者凡退。7回の白仁田は2番を左邪飛、3番にカーブを右前打されますが、4番は投ゴロで併殺。3人で片づけました。8回は田面がワインドアップモーションでの投球を披露。5番をカウント2-2からスライダーで見逃し三振!あとは遊ゴロと捕邪飛で三者凡退です。

さて阪神の攻撃は、1回に俊介が四球、1死後に盗塁を決めて今成も四球を選びましたが得点なし。2回は伊藤隼の右前打と中谷の中前打、田上の四球で1死満塁とするも、やはり無得点。3回は今成が四球で出ただけ、陽川の併殺打など3人で終了。4回は2死から中谷が四球、一二三は中前打で一、二塁。と思ったら、俊介の打席で一二三が走塁死…。5回からは3イニング連続で三者凡退と抑え込まれました。

8回に2死から西田がセカンド内野安打、9回は先頭の梅野がショート内野安打で出塁しますが、チャンスを広げることなく試合終了。散発5安打の完封負けです。

田上「大丈夫ですよ」

まず最初に田上選手の件を書いておきます。2回の守備で、先頭の4番・チェ・ヒョンロク選手が放った打球は右中間へ。センター田上選手とライト伊藤隼選手が追いかけ、こちらから見ていて「あ、ぶつかる…」と思った瞬間に2人が衝突!ボールは捕ったようでアウトランプがつくも、田上選手は倒れたままです。トレーナー、コーチが駆けつけ、セカンドの北條選手やサードの今成選手もそばへ。すぐに「担架を」という声が上がったものの、なかなか出てこなくて心配しました。

打球を追って衝突した田上選手。担架で運ばれます。
打球を追って衝突した田上選手。担架で運ばれます。

やがて八木コーチや中村コーチ、トレーナー陣が持つ担架に乗せられた田上選手は、そのまま救急車で病院へ。意識はあり、話もしていたそうです。以降は情報がなくて心配していたんですが、試合後の取材中に歩いてくる田上選手を発見。ごく普通に、笑みも浮かべながらやってきたので一瞬スルーしてしまいましたよ。直後に「あっ!田上くん」と気づいたくらいです。診察の結果は「問題なし」と山下トレーナー。

病院から戻ってきて、伊藤隼選手と話す田上選手(右)。2人とも無事で何よりです。
病院から戻ってきて、伊藤隼選手と話す田上選手(右)。2人とも無事で何よりです。

すぐに伊藤隼選手も来て、2人で状況を思い出しながら話をしている様子でしたね。身振り手振りで。伊藤隼選手の脇の下に田上選手が入った、というような説明です。伊藤隼選手の方は、最後まで試合に出ていたので異常なし。それにしても伊藤隼選手は上本選手とぶつかった時のことを思い出したでしょうし、選手やファンの皆さんは今成選手が言ったように、福留選手と西岡選手の激突がよみがえって気が気じゃなかったはず。大事に至らなくて本当によかったです。

自分のバッグの整理を始めた田上選手に「大丈夫?」と聞くと「はい、大丈夫だから戻ってきたんですよ(笑)」と言われて納得。ただし、さすがに練習はせず引き揚げる様子でした。そのとき秋山投手に「じゃあ田上さん、練習しましょか」と言われ「しないから!」と、笑いながら素早い切り返し。なので私も「じゃあバッティングだけする?」と重ねて言ってみたら「やりませんって!」。いいですねえ。間髪を入れないというより、かぶせ気味の言葉。心配は要りませんね。きょうも元気にベンチ入りしていたと聞きました。

ミスも重なっての大量失点

2試合続けて韓国チームの試合に先発した秋山投手。今回は悔しい内容です。
2試合続けて韓国チームの試合に先発した秋山投手。今回は悔しい内容です。

秋山投手は「自分でリズムを崩してしまいました。カウントを取りにいくところはよかったんですけど、最後のフォークが甘く入ってしまいましたね。また次回です」と短いコメント。久保投手コーチは「きょうは5イニングを1、2点で終われるピッチングがしていなし。今まで、うちのピッチャーが点を取られていなかったのは、入りをフォークで誘っておいて真っすぐで仕留めるとか、そういう配球をしていたから。1点で終われるところを8点にしてしまった。あそこは外へいかないと」と、ピンチで内角攻めが続いた点を挙げています。梅野選手も試合後、吉田バッテリーコーチと長い時間かけて話をしていました。

“ワインドアップ”の田面

実戦で初めてワインドアップモーションを使って三者凡退の田面投手。
実戦で初めてワインドアップモーションを使って三者凡退の田面投手。

田面投手は、久保コーチによれば「きょうからワインドアップを使っている。ゲームでは初めてですね。自信になったんじゃないかな」とのこと。本人は「前から練習やキャッチボールでやっていたんですけど、きょうはキャッチボールでも良い感じで投げられたから、試合もやってみようかなと思って。キャッチボールのイメージで投げられました」と、いい感触だったようです。「真っすぐの球速はそんなに出ていないけど、ゾーンに投げられて勝負できているかなと思いますね」。コントロールに苦しんで、いつもセットポジションで投げていた田面投手がこの秋、大きく前進です。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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