これからの豪雨被害支援のため…。必読の水害ボランティアマニュアルがある
新聞記者だった頃から、東日本大震災の津波、紀伊半島豪雨など水害の現場を取材してきた。災害現場は、被災者の救出のあとに支援というフェーズに移行する。
今回の西日本豪雨でも、ボランティアなど災害支援がやがて本格化する。現場取材の経験を踏まえて、支援に入る人たちに必ず目を通してほしいマニュアルがある。全社協作成水害ボランティア作業マニュアルだ。
なにが優れているのか?
水害ボランティア作業マニュアルが優れている点は2つある。
第一に、支援やボランティア情報を発信している全国社会福祉協議会がまとめているので、現場の心構え、知見が細やかに書かれていること。第二に、ただ必要な装備を紹介しているだけでなく衛生面への配慮も行き届いていることだ。
私も、知ってからはこれを参考にして災害取材の準備を整えている。
具体的に見ていこう。
この画像にまとめられているように、これからの季節、暑くなっても長袖、長ズボンは必須。長靴も不可欠だ。頭を守るためのヘルメット、防塵マスク、目を守るゴーグル、そして首にかけるタオルもあったほうがいい。
両手を動かすために荷物をまとめるポーチ、水分補給のためズボンから下げられる水筒(中身は飲めるだけでなく、手洗いなどにも使える水がいい)も現場では必ず役立つ必需品だ。
県外から支援に向かうという人にとって重要なのは、現地調達という手段を考えないこと。現地は混乱しており、物資がなかったり、すでに売り切れていたりする。現地はニーズが高いのだから手に入らないのは当然のこと。向かうときは水なども多めに用意しておきたい。
心構えの部分もよく読んでほしい。取材現場で何度か親族同士、ボランティアと被災者の諍いを目撃したことがある。あくまで支援を必要としているのは「被災を受けた人たち」であり、彼らのペースにあわせることが求められる。支援する側の気持ちだけが先行すると、もめてしまう要因になる。
病気のリスクも忘れないこと
ここには、衛生面から災害時のリスクがまとめられている。これからは炎天下の作業になるので、熱中症のリスクも高まる。水分だけでなく塩分も補給し、休憩時間もしっかり確保したい。さらに傷口から破傷風感染のリスクもある。長靴着用と肌の露出を避けなければならない理由だ。
欄外にある水に浸かってしまった車の取り扱いも必読。発火やエンジン全壊のリスクがあり、絶対にエンジンをかけてはいけないという原則が書かれている。
支援作業は何か役に立ちたいという「善意」だけでは成り立たない。現場の知恵がまとまっているマニュアルを読み、これをフル活用することが効果的な支援につながるということを忘れてはいけない。
ボランティア情報。チェックはまずインターネットで
ホームページでわかることを行政などに電話で問い合わせても、かえって支援が滞るだけだ。今回の西日本豪雨のボランティア情報もインターネットで、すでに発信されている。全社協のホームページを中心にチェックしておきたい。