日本企業の6割が法人税ゼロの現実:ゾンビ企業対赤字企業
コロナ禍やコロナ対策禍で打撃を受けた中小企業に対する実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」は、企業の倒産を抑えて経済の下支えに貢献しました。
一方で、国際決済銀行(BIS)の定義「3年以上にわたってインタレスト・カバレッジ・レシオ(利払い負担に対する利益の比率)が1未満にある企業」を基にした帝国データバンクの推計では、いわゆる「ゾンビ企業」は2021年度に国内で18万8000社と、コロナ禍前から3割増加したとのことです。
いわゆる「ゾンビ企業」とは、借入金の利払いに必要とされるだけの利益を生み出せていない企業であり、本来であれば市場から退出を促されるべきであり、こうした「ゾンビ企業」が日本の生産性向上を阻害していると、多くのエコノミストは考えています。
したがって、「ゼロゼロ融資」の返済や植田日銀による利上げの圧力によって「ゾンビ企業」が市場から退出すれば、生産性が向上するという見方を示しています。
しかし、日本経済にとって問題は、確かに「ゾンビ企業」もそうかもしれませんが、もっと深刻なのは、そもそも、日本の企業の6割が法人税を納めていない点にあります。
日本の法人企業に占める欠損法人の割合(赤字企業割合)は、2021年度現在、全法人(284.8万社)の61.7%(175.8万社)に達しています。
この理由としては、業績不振もありますが、合法的な範囲内で節税に励んでいるからだとの指摘もあります。
赤字企業が、目先の利益を前にして、企業本来の目的であるはずの付加価値創造をおろそかにしてしまうと、労働生産性を押し下げる要因にもなり得ます。
つまり、「ゾンビ企業」退治もさることながら、日本経済再生のためには、全法人の6割超にも及ぶ赤字企業の扱い、そして何より法人税制の扱いについて、しっかり考えていく必要があるのではないでしょうか。