Yahoo!ニュース

主要国に見る「世界への好影響」の自画自賛度の実態をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「わたしがイチバーン!」的な自画自賛。国単位では?(写真:アフロ)

イギリスのBBCが2017年7月に発表した定点観測調査「Global Survey on Country Influence」(※)では、調査対象国が評価対象国に対し「世界に与えている影響の良し悪し」を訪ねている。その結果を元に、主要国の自画自賛度を確認する。

次に示すのは、今調査において回答国と対象国が一致した項目の値を抽出したもの。評価対象だが問い合わせをしていない日本や韓国などは含まれていない。例えばアメリカ合衆国は「良い」71%、「悪い」25%、「中庸その他」が4%とあるので、アメリカ合衆国国内に住む人は自国について、世界によい影響を及ぼしていると考えている人が7割、判断がつきかねる人はわずか、悪い影響を与えていると考えている人が1/4ということになる。

↑ この国は世界にどのような影響を及ぼすと思うか(2017年、自国に対する評価)
↑ この国は世界にどのような影響を及ぼすと思うか(2017年、自国に対する評価)
↑ 自国に対する「世界へ与える影響」から算出した自画自賛度(2017年)
↑ 自国に対する「世界へ与える影響」から算出した自画自賛度(2017年)

いわば各国の自画自賛状況をチェックできるものだが、最大の自画自賛度を誇るのはカナダ。89%の人が自国は良い影響を世界に与えていると考えている。否定的意見は7%しかない。ほぼ同じ肯定的意見を持つ中国も否定派は1割を数えており、断トツの自己評価の高さがうかがえる。

中庸派が27%とやや多めだが、ロシアもカナダの状況に近い。むしろ否定派がカナダよりも少ないのには要注目か。ロシアはやや肯定派が少ないが、否定派はカナダと同程度。意外なのはアメリカ合衆国で、肯定派が7割だが否定派も1/4ほど確認できる。同国では現在政派別、思想別(リベラルか保守か)の対立が表面化しており、その思惑が影響しているのかもしれない。

否定派の意見だけで見ればブラジルがもっとも多く64%、次いでアメリカ合衆国の25%、イギリスの19%が続く。ブラジルは圧倒的多数で否定派が多いが、報告書を確認しても事実の説明のみで、その背景までをうかがい知ることはできない。自国に自信が無い状況を謙虚と見るのか、それとも国全体のモチベーションが低いのか、色々と考えさせられる。

なお日本は前調査(2014年)では肯定派50%、否定派6%、中庸派44%で、この類の調査ではありがちな「どちらともつかず」的な意見が多分であったことを記しておく。

■関連記事:

強い懸念を示す周辺国…領土紛争における東南アジア諸国の対中軍事衝突への懸念度

安倍外交をアジア・アメリカはおおむね評価、反発するは中韓のみ

※Global Survey on Country Influence

BBCが不定期に実施している調査で、直近分は2016年12月から2017年4月に渡り、対面調査や電話応対インタビュー形式によって18歳以上の成人男女に対し、大よそ1国あたり1000人を対象として行われた。一部を除き全体調査(ブラジルやインドネシア、中国などは都市部限定)。調査対象国は19か国、評価対象国は一部調査対象国も含め17か国。日本や韓国は今回調査では評価対象国として挙げられているが、調査対象国では無い。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事