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45~54歳では99.0%が該当…永久歯で「う歯」を持つ人の割合

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
虫歯は誰もが痛いものだが(写真:イメージマート)

子供も大人も虫歯の痛みは耐え難いもので、食事が美味しく食べられないだけでなく、集中力の低下など日々の生活にも悪影響を及ぼすことになる。さらに虫歯を放置しておくと身体の他の部分にまで疾患が生じる可能性もある。乳歯と違って二度と抜け替わることのない永久歯における「う歯(齲歯。齲蝕した歯。いわゆる「虫歯」)」の実情を、厚生労働省が2023年12月に発表した歯科疾患実態調査(※)の2022年調査分の概要から確認する。

今回精査の対象としたのは、5歳以上の永久歯の現状。虫歯のあるなしで区分すると、「虫歯がまったく無い人」以外に、「虫歯だった経験があるがすでに治療済み(処置完了)」「治療済みの歯もあれば、治療中の歯もある(処置歯・処理歯双方が存在)」「虫歯を抱えている(未処理歯)」の4通りに分けられるが、その構成比を年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 現在の歯に対して「う歯」を持つ人の割合(永久歯対象)(2022年)
↑ 現在の歯に対して「う歯」を持つ人の割合(永久歯対象)(2022年)

10歳未満の子供における永久歯の虫歯状況は1割足らず。これが10代に入ると急激に増え、20代になると7割台から8割台が「永久歯が虫歯」あるいは「永久歯が虫歯だった」状態になる。もっとも「治療していない歯だけ」の人はごく少数で、大抵が治療済み、あるいは治療過程にあるのか混在状態との結果が出ている。

一方で70代以降「治療中・未治療混在」の割合はあまり変わらないにもかかわらず「処置完了」の割合は減り、「虫歯が無い」人が増えていく。他データによれば歳を経るほど「喪失歯」も増えていることから、老化などで歯が抜け落ち、結果として「虫歯が無くなった」状況になったものと推定される。この場合「虫歯が無い」ので歯的に健康であるとは限らないことになる。あるいは単に、この世代は虫歯に強い可能性もあるが。

これを1987年以降の過去調査データと併記したのが次のグラフ。このグラフにおける「う歯」とは治療済み、治療中の双方を含む。

↑ う歯を持つ人の割合(5~44歳)
↑ う歯を持つ人の割合(5~44歳)

↑ う歯を持つ人の割合(45歳~)
↑ う歯を持つ人の割合(45歳~)

44歳まではおおよそ現在に近づくに連れて減っているが、45~54歳では増加から横ばいに、65歳以降は漸増しているのが分かる。

これは「高齢者における虫歯が深刻化している。歯みがきの啓蒙や予防技術の点で問題があるのでは?」といった話ではなく、上記で説明したように「経年における喪失歯の数・喪失者率が減少しており、虫歯になる可能性がある自前の永久歯を持つ人・自前の永久歯が増えているから」に他ならない。詳しいグラフ化は略するが、全年齢階層で喪失者率、喪失歯の数の平均は減少している。

↑ 65~69歳における喪失歯所有者比率と平均喪失歯数
↑ 65~69歳における喪失歯所有者比率と平均喪失歯数

自分自身の歯を少しでも多く残し続けられるよう厚生医療状況は進展を遂げているが、同時に虫歯になるリスクも増加してしまう(どれほど予防策を打っても、虫歯リスクをゼロにはできない)。ある意味、皮肉な話ではある。

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※歯科疾患実態調査

歯科保健状況の把握のために必要な資料を構築するため、1957年以降原則6年毎に実施しているもの。今回概要が公開された2022年分については、国民生活基礎調査において設定される地区からさらに抽出した300単位地区の満1歳以上の世帯員を調査客体としている。調査対象者数は男性1239人・女性1470人の計2709人。一部は質問紙調査だけでなく口腔診査受診も実施している。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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