源泉かけ流しばかり!「湯の質が高い東京近郊の温泉地」5選
「いい温泉」の基準のひとつとなるのが「源泉かけ流し」の湯船があるかどうかだ。常に新しい源泉が湯船に注がれ、そのままあふれていく「源泉かけ流し」の湯船ほど鮮度が高いが、そうした施設は全体の3割ほどだといわれ、それ以外は湯を使いまわす循環ろ過式である。源泉かけ流しの湯は意外と貴重な存在なのだ。
そこで、今回は源泉かけ流し率の高い「関東近郊の温泉地」を5カ所紹介したい。
奥塩原新湯温泉(栃木県)
奥塩原新湯温泉は、塩原温泉郷のひとつ。山あいの静かな環境で、爆裂火口跡から湧き出した乳白色の濁り湯をかけ流しで楽しめる。「寺の湯」「むじなの湯」「中の湯」という3つの共同浴場のほか、旅館の湯も基本的に濁り湯が源泉かけ流しである。なかでも「やまの宿 下藤屋」は木造の情緒あふれる浴室が濁り湯をさらに美しく見せる。
草津温泉(群馬県)
日本を代表する人気温泉地で、湧出量も全国トップクラス。温泉地として「泉質主義宣言」をしているように、源泉の質には絶対的な自信をもっており、ほとんどの施設が源泉かけ流しである。湯畑源泉、万代鉱源泉など主に6つの源泉があるので、湯巡りをしてそれぞれの違いを味わうのも楽しい。
沢渡温泉(群馬県)
強酸性の草津温泉と比べて、マイルドな泉質のため「草津の仕上げ湯」と呼ばれる。坂道に小さな旅館が並ぶ温泉地で、ゆっくりと静かな時間を過ごしたい人に向いている。鮮度抜群の「沢渡温泉共同浴場」のほか、浴室が芸術的な美しさを誇る「まるほん旅館」など温泉好きに愛される温泉地。アツアツだけれど、やさしい肌触りの湯につかると、体の芯まで温まる。
四万温泉(群馬県)
上州を代表する出湯のひとつ四万温泉は、湯量豊富でほとんどの宿が源泉かけ流し。特に『千と千尋の神隠し』のモデルとなったとされる老舗旅館「積善館」周辺は湯の街情緒にあふれ、温泉街に沿って流れる四万川の渓谷美も魅力。多くの宿が渓流沿いの露天風呂をもつ。温泉街にある共同浴場「御夢想の湯」「上の湯」「河原の湯」は無料で入浴できるので、湯巡りも楽しい。
下部温泉(山梨県)
山あいに佇む素朴な温泉地で、1200年の歴史をもつ古湯。ひっそりとしているが、どこか郷愁を誘われる温泉街は、ひとり旅にふさわしい。昔から湧く20~30度代のぬる湯が特徴で、温冷交互浴に励む湯治客も多い。源泉にこだわるなら足元湧出の古湯坊源泉館(宿泊のみ)がおすすめだが、他の旅館の多くで源泉かけ流しの温冷交互浴を体験できる。