ヤンキースの「家」はヤンキー・スタジアムだけじゃない。あの球場は彼らの「別宅」!?
先代のヤンキー・スタジアムは「ルースの建てた家」と呼ばれた。オープンしたのは1923年。ベーブ・ルースがボストン・レッドソックスから移籍し、54本のホームランを打ったのは1920年だ。前年までシーズン30本に達した選手は一人もおらず、1920年にルースよりもホームランが多かったチームは、ヤンキースを除くと、64本のフィラデルフィア・フィリーズしかなかった。ヤンキースは115本だが、ルースのホームランが半数近くを占めた。ルース見たさにファンが球場に詰めかけ、ヤンキースはそれによって得た金で、ヤンキー・スタジアムを建てたというわけだ。
2009年にオープンした、現在のヤンキー・スタジアムは「スタインブレナーの建てた家」と呼ばれることがある。こちらは、先代のオーナー、ジョージ・スタインブレナーのことだ。誰よりもヤンキースを愛した人物と言っても、過言ではないかもしれない。「ザ・ボス」は「ヤンキースを所有するということは、モナ・リザを所有するようなものだ」の名言を残している。
ヤンキー・スタジアムが「家」なら、ボルティモア・オリオールズが本拠地とするオリオール・パークアット・カムデンヤーズは、ヤンキースにとって、さしずめ「別宅」といったところだろう。
8月5日の試合で、ヤンキースは5本のホームランを打ち、今シーズンのカムデンヤーズにおけるホームランを32本とし、「1シーズンにアウェーの1球場で最も多くのホームランを打ったチーム」となった。それまでの最多は、1957年にミルウォーキー・ブレーブスがクロスリー・フィールド(シンシナティ・レッズの本拠地)で記録した29本だった。この年、ブレーブスはクロスリー・フィールドで11試合を行った。今シーズン、ヤンキースがカムデンヤーズでプレーしたのは8試合だ。さらに、8月6日と7日に1試合ずつを残している。また、昨年7月11日から、ヤンキースはカムデンヤーズで13連勝している。
もっとも、カムデンヤーズは打者有利な球場だ。ヤンキースの全員が、ここで快適に過ごしているわけではない。今シーズンの8試合で、ヤンキースの投手陣は10本しかホームランを打たれていないが、先発投手がクオリティ・スタートを記録したのは2試合しかない。5月23日は6回1失点の田中将大も、8月5日は5.1回5失点に終わった。