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来春開始の中央快速線・青梅線グリーン車 特急指定席とどう使い分ければいい?

小林拓矢フリーライター
今後グリーン車が連結される予定の中央線・青梅線快速列車(写真:イメージマート)

 先日、中央快速線・青梅線のグリーン車が、来年春に導入されることが発表された。2階建て車両2両で、東京~大月・青梅にて運行される。

 来春のサービス開始に先立ち、10月13日以降グリーン車の車両を連結した編成を順次導入し、グリーン料金不要(普通車扱い)の「グリーン車お試し期間」とする。

 座席定員は2両合わせて180名と、輸送力への期待も高まる。

 回転式リクライニングシート、前席に電源コンセント・テーブル・ドリンクホルダーを備えている。

 来春にグリーン車として正式に導入された際には、「JR-EAST FREE Wi-Fi」や、トイレ、ゴミ箱なども利用できるようになり、「グリーンアテンダント」による案内のサービスも開始する。

 すでにJR東日本の首都圏各方面へのグリーン車で導入されている、Suicaグリーン券システムを中央快速線・青梅線グリーン車でも採用し、このシステムを利用する際には車内改札は省略となる。

気になるお値段は……?

 グリーン車に乗る場合には、運賃に加えてグリーン料金を支払うことになる。

 Suicaグリーン料金は50キロまで750円、100キロまで1,000円だ。なお101キロ以上は1,550円となっているが、中央快速線・青梅線内でのグリーン車運行距離に101キロとなる区間はない。

 紙のきっぷ(通常料金)では、50キロまで1,010円、100キロまで1,260円となる。なお101キロ以上は1,810円だ。

 ちなみに、JRE POINTを使用した場合には、600ポイントでSuicaグリーン券を購入できる。この場合、長距離乗れば乗るほどお得である。

 50キロまでの区間は、東京・新宿から八王子・拝島、新宿から高尾・青梅といったところだ。東京・新宿から八王子までという、多くの人が利用する区間である。

 100キロまでの区間は、東京・新宿から高尾・大月、東京から青梅といったところだ。東京から高尾までは53.1キロである。なおその手前西八王子までは49.8キロだ。なお東京から大月までは87.8キロとなっている。

普通列車グリーン車か、特急指定席か

 普通列車グリーン車は、自由席である。いっぽう、中央線・青梅線では全席指定の特急列車も運行されている。「はちおうじ」「おうめ」といった、近距離向け特急もある。「あずさ」「かいじ」の午前中の上り列車、夕方以降の下り列車は、東京発着のものも多い。

 普通列車グリーン車と特急列車の指定席では、座席のグレードはそんなに大きく変わるわけではない。普通列車のグリーン車は、特急のグリーン車ほどゆったりと座れる座席を装備していない。

中央快速線・青梅線グリーン車車内(JR東日本プレスリリースより)
中央快速線・青梅線グリーン車車内(JR東日本プレスリリースより)

 となると、値段の比較をしなければならない。

 東京~八王子間では、特急列車のチケットレス割引は660円、事前購入(紙のきっぷ)760円、車内での購入1,020円である。

 東京~大月間では、35%のチケットレス割引で660円、ふつうのチケットレス割引で920円、事前購入1,020円、車内での購入1,280円である。

 あれっ? 特急列車の指定席のほうが、安いぞ。

 多くの人がモバイルSuicaを使用し、モバイルSuicaでグリーン券を買うため、Suicaグリーン料金で中央快速線・青梅線グリーン車に乗る人が多いと想定できる。

 特急は停車駅が少なく、いっぽうで中央快速線の列車は停車駅が多く、利用者層は異なることは確かだが、立川や八王子、大月といった主要駅を利用することを考える場合、特急の指定席のほうが安いといえる。

 主要駅の利用者、とくに夕方以降の下り列車の利用者は特急を使うほうが、正直安上がりである。そうではない人が、中央快速線・青梅線グリーン車を利用するのが妥当だろう。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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