「第三者委員会」がダメなら、外国人で構成する「第四者委員会」の設置も必要な時代に?
第三者委員会は正しく機能しているか?
何らかの企業不祥事が発覚した場合、日本は独自の処理法として「第三者検証委員会(第三者委員会)」が設置され、原因究明などを依頼することが2000年後半から定着しています。昨今であれば、東芝の不正会計問題に当たった役員責任調査委員会が相当します。
本来であれば独立性の高い社外取締役が経営陣に対して責任を厳しく追及するのが筋。しかし日本ではこの監査機能がとても弱いのが現実。欧米と異なり、日本人はその「場の空気」に強く影響を受ける”人種”であるのか、妥協的になり、なれ合いになりがち。社外取締役が結託して独立性・客観性を担保した監査をしようものなら、「空気が読めない」として取締役を解任される危険性があります。
経営コンサルタントとして現場に入る身として痛感するのは、創業オーナーが牛耳る中小企業のみならず、ガバナンスが重要視される大企業でさえ、緊張感ある取締役会が運営されている企業は稀です。企業の業務執行の決定、監査は経営トップの良識に委ねられていると言っても過言ではありません。
こういった事情があるため、不祥事が発覚したときには先述した「第三者委員会」が設置されます。どんなに経営者が「不眠不休の覚悟で改革に邁進してまいります」と記者会見で10秒以上頭を下げたとしても、自浄させる力はもうないだろうと判断されるからです。
ところが11月9日に東芝の調査委が公表した報告書は「中身がない」「説得力に欠ける」などと、批判が多いのは周知の事実です。「第三者委員会」の監査機能さえも疑われはじめた昨今、有志の弁護士らが集い「第三者委員会報告書格付け委員会」なるものを設置したわけですが、この格付け委員会から「失格」と烙印を押されたわけです。私たちはいったい何を信じたらいいかわからなくなってきました。
表面的な対策に終始するなら「第四者委員会」を
エンロン事件やワールドコム事件が発端で、サーベンス・オクスリー法(略称SOX法)がアメリカにおいて成立。この考えが日本にも輸入され、日本版SOX法なるものも制定されました。企業会計の信頼性向上が目的です。これらの時代の流れにより、上場すると、「上場維持コスト」が膨大にかかるようになり、上場することによってかえって財務的負担が大きくなり、上場を「夢」と掲げる起業家が極端に減った要因となっています。
ところが「コーポ―レート・ガバナンス」だの「内部統制」だの、いろいろな言葉が登場し、そのための書類作成や、そこに従事する人材、情報システムが増えても、結局は「なあなあ」。日本人の”人の良い気質”の問題なのか、どんなに制度を厳しくしても、経営の「可視化」を促進させようとしても、根本的な企業体質に変革をもたらすことができていないのが現状です。
第三者委員会でさえこの体たらくであるなら、さらに客観性を担保した「第四者委員会」も設置すべきでしょう。そして、「第四者」というわけですから、できればスポーツの国際試合で笛を吹く審判のように、利害関係の薄い外国人の有識者で構成されているのが望ましい。空気の読めない外国人有識者によって「第四者委員会」を設置し、「第三者委員会」の監査機能を厳しくチェックしてもらいたいものです。