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2年連続三振王がトレードで移籍。ホームランは31本→22本。獲得側と放出側の思惑は!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エウヘニオ・スアレス Aug 25, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月22日、アリゾナ・ダイヤモンドバックスとシアトル・マリナーズは、1対2のトレードを成立させた。ダイヤモンドバックスは、エウヘニオ・スアレスを獲得。マリナーズは、スアレスと交換に、カルロス・バーガスセビー・ザバラを手に入れた。

 スアレスは、32歳の三塁手だ。昨年3月のトレードでシンシナティ・レッズから移籍し、マリナーズで2シーズンを過ごした。

 2022年は、打率.236と出塁率.332、31本塁打、73四球と196三振、OPS.791。2023年は、打率.232と出塁率.323、22本塁打、70四球と214三振、OPS.714。2年続けてア・リーグ最多の三振を喫し、今シーズンのホームランは、昨シーズンから9本減っている。レッズ時代の2019年も、ナ・リーグ最多の189三振ながら、ホームランは49本を数え、打率.271と出塁率.358、70四球、OPS.930を記録した。

 来シーズンは、7年6600万ドルの契約最終年となる。2025年は、球団オプションだ。ダイヤモンドバックスは、年俸1500万ドルでスアレスを保有するか、そうせずに解約金の200万ドルを支払うかを選択する。

 バーガスとザバラは、24歳のリリーバーと30歳の控え捕手だ。バーガスの4シームとシンカーは100マイルを超えることもあるが、コントロールはよくない。今シーズンは、AAAの42.1イニングで与四球率6.80を記録した。キャリアを通し、メジャーリーグで投げたのは、今シーズンの5登板だけだ。ザバラのメジャーリーグ出場は、4シーズンに計176試合。ディフェンスに優れる。通算の打率と出塁率は.210と.275ながら、14本のホームランを打っている。

 今シーズン、ダイヤモンドバックスの三塁手が打ったホームランは、ナ・リーグ最少の10本しかなかった。これは、各選手が三塁手として出場した時に記録した合計だ。打率と出塁率は.234と.303だった。スアレスの加入により、少なくともパワーはアップするだろう。ダイヤモンドバックスのホームランは、チーム全体でも166本。マイアミ・マーリンズと並び、ナ・リーグで10番目に少なかった。スアレスは、守備も悪くない。

 一方、マリナーズは、両リーグで2番目に多い1603三振を喫し、2番目に高い三振率25.9%を記録した。MLB.comのジョン・モロシによると、今月初旬のGMミーティングに出席したジェリー・ディポートは、ラインナップのコンタクト率を上げる、と語ったという。

 214三振のスアレスは、211三振のテオスカー・ヘルナンデスとともに、史上初の200三振デュオを結成した。FAになったテオスカーに、マリナーズは、クオリファイング・オファーを申し出なかった。

 今シーズン、テオスカーは、打率.258と出塁率.305、26本塁打、38四球、OPS.741を記録した。ちなみに、スアレスとテオスカーを上回る、215三振を喫したカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、打率.197と出塁率.343、47本塁打、126四球、OPS.817だ。シュワーバーの場合、三振だけでなく、ホームランと四球も多かった。

 これまでにシーズン200三振以上を記録した選手の、ホームランと四球、シュ出塁率については、今シーズンの終盤に、こちらで書いた。

「200三振以上の打者はホームランも多いのか。今年の2人は倍以上の差があり、45本塁打と21本塁打」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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