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【最新研究】早期のピーナッツ摂取は、アレルギー予防に効果的!適切な時期と方法とは

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:イメージマート)

【ピーナッツアレルギー予防に適した時期とは?】

ピーナッツアレルギーは、欧米の子どもの1~2%が罹患していると言われています。最近の研究により、乳児期早期にピーナッツを摂取することで、アレルギーのリスクを大幅に下げられることがわかってきました。では、いつから与えるのが最適なのでしょうか?

英国で行われたEAT研究とLEAP研究のデータを分析したところ、生後6ヶ月までにピーナッツを与えることが、アレルギー予防に最も効果的であることが示唆されました。特に、アトピー性皮膚炎のある乳児は、生後4ヶ月から与え始めるのが良いようです。ピーナッツの摂取開始が遅れるほど、予防効果は減少してしまうのです。

ただし、ピーナッツを丸ごと与えるのは窒息の危険があるので注意が必要です。ピーナッツバターやピーナッツパフなどを選びましょう。

【アレルギーリスクの高い乳児の特徴】

では、どのような乳児がピーナッツアレルギーを発症しやすいのでしょうか?リスクが高いのは、以下のような特徴を持つ乳児です。

・アトピー性皮膚炎がある(特に重症の場合)

・アトピー性皮膚炎の罹患期間が長い

・卵アレルギーがある

・白人以外の人種(混血も含む)

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下した状態です。皮膚から食物アレルゲンが侵入しやすくなり、アレルギーを引き起こす可能性が高まるのです。ピーナッツアレルギーのある乳児の多くは、生後1年以内に発症しています。

【ピーナッツアレルギー予防で母子ともに幸せに】

ピーナッツアレルギーの子どもとその家族は、食事制限や誤食の不安から、QOLが大きく損なわれます。しかし、ピーナッツの早期摂取で発症リスクを下げることができるなら、チャレンジする価値は大いにあるでしょう。

離乳食を始める際は、かかりつけ医に相談しながら進めていくことをおすすめします。特に、アトピー性皮膚炎のあるお子さんは、早めの対策を検討してみてください。

参考文献:

Roberts, G., Bahnson, H. T., Du Toit, G., O'Rourke, C., Sever, M. L., Brittain, E., ... & Lack, G. (2023). Defining the window of opportunity and target populations to prevent peanut allergy. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 151(5), 1329-1336.

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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