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シーズン90勝未満と100勝以上。ワールドシリーズ優勝が多いのは…。今年の対戦は87勝と106勝

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・マーシュ(フィラデルフィア・フィリーズ)Nov 1, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ベースボール・リファレンスは、こうツイートしている。「2000年以降、87勝以下のチームのワールドシリーズ優勝は、106勝以上のチームよりも多い」

 今年のワールドシリーズは、87勝のフィラデルフィア・フィリーズと106勝のヒューストン・アストロズが対戦している。言うまでもなく、レギュラーシーズンの勝利数だ。

 ベースボール・リファレンスのツイートは、興味深いものの、これだけでは何とも言えない。と思っていたら、やはり、「それぞれ何度?」と訊ねている人がいた。

 それに対し、ベースボール・リファレンスは、こう答えている。「パンデミックによって短縮された2020年を含めず、87勝以下でワールドシリーズ優勝は2チーム(2000年のヤンキース&2006年のカーディナルス)、一方、106勝以上のチャンピオンは1チームだけ(2018年のレッドソックス)」

 2000年のワールドシリーズは、87勝のニューヨーク・ヤンキースと94勝のニューヨーク・メッツが対戦した。2006年は、83勝のセントルイス・カーディナルスと95勝のデトロイト・タイガース。2018年は、108勝のボストン・レッドソックスと92勝のロサンゼルス・ドジャースだ。

 2000~19年と2021年のワールドシリーズに進出した計42チーム中、87勝以下のチームは、2000年のヤンキースと2006年のカーディナルスしかない。一方、106勝以上は、2018年のレッドソックス以外に1チーム。2019年に107勝のヒューストン・アストロズがそうだ。こちらは、93勝のワシントン・ナショナルズに敗れた。

 2000年以降のワールドシリーズ――2020年は含めない――に進出した、87勝以下のチームの優勝は2分の2、106勝以上は2分の1ということになる。

 サンプル数が少ないので、1903年以降の全シリーズがどうなのかを調べてみた。対象チームの勝利数は、今年の両チームに合わせるのではなく、区切りのいいところで、90勝未満と100勝以上とした。

 両チームとも90勝未満、あるいはどちらも100勝以上のシリーズを除くと、90勝未満でシリーズ進出は14チームあり、その半数の7チームが優勝している。直近の7チーム目は、昨年のアトランタ・ブレーブスだ。レギュラーシーズンは、88勝だった。一方、100勝以上は、優勝が29チーム、敗退は22チームだ。

 シリーズ進出は、当然のこととして、90勝未満のチームよりも100勝以上のチームが多いものの、優勝の割合は、そこまで大きな違いがない気がする。50.0%(7/14)と56.9%(29/51)だ。

 ちなみに、90勝未満のチームと100勝以上のチームによるワールドシリーズは、1944年しかなかった。今年が2度目だ。78年前は、89勝のセントルイス・ブラウンズと105勝のカーディナルスが対戦し、カーディナルスが「セントルイス対決」を制した。

 今年のワールドシリーズは、ここまで3試合を終え、フィリーズが2勝1敗とリードしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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