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「俺を咬ませ犬と呼びたきゃ呼べ!」今夜、日本スーパーライト級王座に挑む6位

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:Marvin Woods

 今夜、後楽園ホールで日本スーパーライト級タイトルマッチが催される。チャンピオンの藤田炎村も、挑戦者の関根翔馬も63.4kgで計量をパスした。

 2度目の防衛戦を迎える28歳の王者と、37歳のチャレンジャーが顔を合わせるのは、この計量会場が初めてであった。

撮影:Marvin Woods
撮影:Marvin Woods

 挑戦者は王者の印象について語った。

 「広背筋が発達しているのでパンチはありそうですが、特に感じたものは無いです。いよいよ試合がきたんだな。ベルトを大事そうに持っているな、くらいでしょうか」

 計量会場を出ると、関根は町田主計トレーナーと共に野菜クッパを食べた。

撮影:Marvin Woods
撮影:Marvin Woods

 その折、何度も発した言葉が「体調はいいです。過去最高に仕上げることができました」だった。

 ゆっくりとスプーンで料理を口に運びながら、関根は続けた。

 「僕を咬ませ犬と言いたい人は、ご自由にどうぞ、という気持ちですね。実際、自分はエリートじゃないですし、咬ませ犬としてリングに上がる方が格好いいですよ。

 今日、日本のボクシング界はアマチュアのエリートが勝ち上がっていく流れがあります。でも、七転び八起きという言葉のように、ボクシングも人生も何度転んでも逆境に負けないことが大事じゃないでしょうか。僕は、それを教訓にしてきました」

撮影:Marvin Woods
撮影:Marvin Woods

 そして、藤田戦が決まってから、ずっと心の拠り所としてきたのが、WBCミドル級、IBFスーパーミドル級、WBCライトヘビー級と3階級を制したアイラン"BLADE"バークレーだ。

撮影:筆者
撮影:筆者

 「あのトーマス・ハーンズに挑戦するだけの力があった選手なのに、プロモーターの采配で、ずっと陽の当たらない場所に立たされていた。見世物小屋に送られる奴隷のような扱いに耐えていた。

 ハーンズ戦のリングに上がるバークレーからは、『やってやるぞ!』という強い意志が感じられました。もし、日本人選手が中量級で3階級制覇したら、物凄いスターになっている筈です。負の状況を、拳で変えたーーまさに僕のロールモデルですよ。今夜も、寝る前にYouTubeでバークレーを見ます」

撮影:筆者
撮影:筆者

 食事を終えた関根は結んだ。

 「もう、戦いは始まっています。明日は全てを懸けて戦います。絶対に勝つ!」

撮影:筆者
撮影:筆者

 早稲田大学を卒業したリクルートの営業マンである王者に、挑戦者はいかにぶつかっていくのか。プロボクサーとしての集大成。関根は今夜、生き切ろうとしている。

 間も無く、ゴングが鳴る! 関根翔馬の闘いに注目だ!!

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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