今後はハリケーン「サリー」が米南部上陸へ 3週間で2つ目
8月末「ローラ」の直撃を受けたアメリカに、再びハリケーンの危機が迫っています。現地時間15日(火)朝にも「サリー」がルイジアナ州周辺に上陸するもようです。大西洋上では、すでに次のハリケーン「テディ―」の発生が控えています。
8月末、ハリケーン「ローラ」が、アメリカ南部ルイジアナ州に上陸しました。上陸時の最大風速は67m/s(1分平均)で、ルイジアナ州の観測史上最強、さらにアメリカ史上4番目に強いハリケーンとなりました。
それから約3週間が経ちました。直撃を受けたルイジアナ州では、まだ傷跡が癒えない状況ですが、現地時間15日(火)朝にもハリケーン「サリー」が上陸する可能性が高まっています。
サリーの進路図と雨量
予想される上陸時の勢力は、ハリケーンのカテゴリーの中ではもっとも下の「カテゴリー1」で、「カテゴリー4」で上陸したローラと比べると弱い予想です。つまり風速に関してはローラほどではなさそうです。しかし雨量に関してはローラをはるかに上回る恐れがあります。
なぜかというと、サリーは上陸後に進行速度を大幅に落とすため、同じような場所に数日にわたって大雨をもたらす恐れがあるためです。国立ハリケーンセンターによると、ルイジアナ州からフロリダ州にかけて、最大610ミリの大雨が予想されています。これはこの地域のか9月の月間降水量の5倍に匹敵します。
さらに、高潮の影響も長引くことが予想されます。あいにくルイジアナ州などは海抜ゼロメートル地帯が広がっており、高潮や高波などの被害が出やすい地形です。
アメリカにおけるハリケーンの死者数のうち9割は、大雨による洪水や高潮などが死因と言われています。サリーはこれらの要素を満たすため、恐ろしいハリケーンと言えます。
蚊の大量発生
ルイジアナ州は、ローラによる洪水の影響で、蚊の大量発生に悩まされています。LSU AgCenterによると、牛などの家畜が、蚊を追い払うために動き続け疲労して死に至るケースや、ストレスから流産にいたる牝牛も報告されているということです。
大西洋では次々にハリケーン
サリーがアメリカに上陸をすれば、今年8つ目の出来事となります。これはアメリカの観測史上、この時期としては最多記録です。
一体なぜこれほど多くの嵐が直撃しているのでしょうか。
それは、大西洋において記録的な数の熱帯擾乱が発生していることにあります。今年はこれまでに18個も発生しているのです。例年だと1年で10個ですから、すでに倍近くも発生していることになります。これは観測史上最速のペースです。
次のハリケーンは「テディ―」
サリーのように、ハリケーン(※)には名前が付けられていて、その名前のリストは、前もって用意されています。名前は基本的にはアルファベット順となっています。たとえば今年1号はアーサー(Arthur)、2号はバーサ(Bertha)でした。
次に発生するハリケーンは「テディー(Teddy)」と名付けられる予定です。おそらく多くの人が、突っ込みを入れたくなるほど可愛すぎる名前でしょう。下図は、テディーになると予想される嵐の予想進路です。幸いなことにテディ―は大西洋を北上し、陸地には影響を及ぼさない可能性が高そうです。
大西洋のハリケーンシーズンは、10月いっぱいまで続きます。今後もまだまだ予断の許されない状況が続きそうです。
※名前の付く熱帯擾乱には、ハリケーン(最大風速34m/s以上)と、それより一段階弱い勢力であるトロピカルストーム(最大風速17m/s以上33m/s以下)があります。
*追記 (9/16)*
サリーは現地時間16日朝5時に、アラバマ州ショアーズ周辺に上陸しました。上陸時の中心気圧は965hPa、最大風速は46m/s(1分平均)の「カテゴリー2」の勢力でした。