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出掛ける前からジャズ気分:スタンダードを封印して臨むバンドネオンの新境地(北村聡@東京オペラシティ)

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
B→C バッハからコンテンポラリーへ 164 北村聡(バンドネオン)
B→C バッハからコンテンポラリーへ 164 北村聡(バンドネオン)

バンドネオンはリードオルガンやアコーディオンから派生した楽器。

詳しい説明については、気鋭のバンドネオン奏者のひとりである小松亮太のサイトにあった文章を引用したい。

形はアコーディオンに似ていると言われることが多いですが、音色は独特なものがあります。

また、この楽器は構造上、雅楽に使われている笙という楽器や、ハーモニカと同じ系統に分類されます。

バンドネオンは、アルゼンチンではなく、ドイツで生まれた楽器です。

1821年、楽器商のハインリッヒ・バンドによって発明されました。

バンドさんの作った楽器なので、バンドネオンという名前になったということです。

バンドネオンは最初は、教会で演奏される携帯用オルガンの役割を担っていました。

それがなぜアルゼンチンに渡ったのかは詳しくは不明ですが、

船乗りがドイツからアルゼンチンに持っていったのがきっかけになった、というのが有力な説です。

引用:バンドネオンとは|小松亮太オフィシャルサイト

この小松亮太の演奏に大学1年のときに出逢い、「触ってみたい」と思ったことがきっかけでバンドネオンを始めたのが北村聡だった。2〜3ヵ月に1度のレッスンを重ねるうちに小松から「上京しないか」という誘いを受けて軽い気持ちで東京へ出ていくと、いきなりプロにまじって演奏する機会を得て、そのまま引く手数多の人気奏者になってしまったという“シンデレラ・ボーイ”である。

バンドネオンといえばアルゼンチンタンゴ、そしてアルゼンチンが生んだ世界的かつ革新的な作曲家であるアストル・ピアソラの名曲を避けて通るわけにはいかない。

ところが今回の公演では、それを避けてしまおうというのだ。

予告されている内容は以下のとおり。

前半はスカルラッティ、フレスコバルディ、J.S.バッハとバロックの作品をバンドネオン・ソロで。

後半は中島ノブユキ、加藤昌則、武満徹といった日本の作曲家がバンドネオンのために書いた作品と、アルゼンチンの作曲家に委嘱した作品(グスタヴォ・ベイテルマンの「バンドネオンのための<即興曲I>」は世界初演)などを、東京交響楽団首席チェロ奏者の西谷牧人とオルケスタ・アウロラの鈴木崇朗を交えて。

“十八番”を封印したバンドネオンは、なにをどのように表現しようとするのかーー。

では、行ってきます!

●公演概要

9月16日(火) 開演 19:00

会場:東京オペラシティ リサイタルホール

出演:北村聡(バンドネオン)、西谷牧人(チェロ)、鈴木崇朗(バンドネオン)

♪Richter plays Bach Fantasia in C minor, BWV 906

演奏予定のJ.S.バッハ「ファンタジア ハ長調 BWV906」をスヴャトスラフ・リヒテルのピアノ・ソロで予習。

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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