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【野党再編】民進党の消滅と希望の党の打算

安積明子政治ジャーナリスト
蓮舫氏の代表辞任から、民進党の終わりが始まった(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

4つの選択肢

 民進党は12月13日、常任幹事会を開いて「党の戦略・改革・組織・運営に関する改革本部 中間報告―新たな挑戦への指針―」を了承した。

 同報告によると、今後の方法として(1)現状維持をしつつ、党運営のあり方を改革、(2)党名を変更するとともに、運営のあり方を改革、(3)新党に移行するとともに、党運営のあり方を改革、(4)その他という選択肢を提示している。また(2)が選択された場合には来年の通常国会までの移行、(3)の場合は年内の移行が望ましいというタイムスケジュールも付記されており、年末にかけて動きが慌ただしくなるものと思われる。

 これらについて議論するため、翌14日午後に両院議員懇談会が開かれ、16日には地方組織の代表者を集めて全国幹事会が行われる。来年2月に党大会を開くために25日に予定されている両院議員総会は、民進党消滅のための最後の会合となる可能性が出てきた。もっとも党内では岡田克也元代表や蓮舫元代表のように、党の存続を強く求める意見もあり、流動的な部分もある。

 しかし多くは「このままでは党は存続できない」と見なしている。とりわけ2019年春の統一地方選に出馬予定の地方組は、危機意識が強い。

 川田龍平氏に続き、11日には有田芳生氏も離党届を出した。いずれも立憲民主党に入党を希望しているという。離党志願者が続くことへの危惧だろうか。13日の段階ではまだ正式に受理されていない。立憲民主党への移籍を希望する者はさほど多くないようだ。「十数名にすぎない」とも言われている。

 もっとも、「党を上げて方向性をここで決めても意味がない」という意見もある。ある議員は「結局は連合が支持する方向に動くに決まっている」と述べた。支援者の力は極めて大きい。

年明け早々に希望の党に資金が入る?

 その一方で、希望の党では興味深い変化が起こっている。衆院選で収めた供託金を落選者に早く返還するため、玉木雄一郎代表が保証人になって借金した。財政的に余裕のないはずの同党だが、なぜか最近“余裕”が出てきたというのだ。希望の党から立候補を誘われているある人物がこう述べた。

「以前は『資金は来年4月からしか出せない』と言われたが、なぜか最近は『2月に出す』と変わってきた」

 4月には2018年最初の政党交付金が希望の党に入ることになっているが、年明け早々にまとまった公金が政党に流れることはない。しかし年明け早々に民進党と“合流”すれば、「70億円」とも言われる民進党の資金も“合流”することになる。

また民進党籍を有する13名が希望の党に参加すれば、希望の党は立憲民主党を抜き、野党第一党に躍り出る。野党第一党と第二党では、その存在感がまるで違う。希望の党にとっては、民進党の合流は一日も早く実現してほしいことであるに違いない。

 もはや年末の「風物詩」になりつつある、新党を巡る政界の騒動。その目的は政治資金の分捕りや勢力の拡大、そして各議員の生き残りであることは間違いない。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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