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糸谷八段久々のタイトル戦登場――第46期棋王戦五番勝負渡辺明棋王-糸谷哲郎八段戦展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
抜群の安定感を誇る渡辺明棋王(筆者撮影)

 渡辺明棋王(36)に糸谷哲郎八段(32)が挑戦する第46期棋王戦五番勝負(共同通信社主催)は第1局が2月6日に東京都渋谷区「将棋会館」で行われる。

 このカード2度目となるタイトル戦番勝負の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

<棋王戦五番勝負日程>

第1局 2月6日 東京都渋谷区「将棋会館」

第2局 2月20日 石川県金沢市「北國新聞会館」

第3局 3月7日 新潟県新潟市「新潟グランドホテル」

第4局 3月17日 東京都渋谷区「東郷神社」

第5局 3月30日 東京都千代田区「都市センターホテル」

渡辺棋王の好調さが際立つ

<渡辺棋王の最近10局>

10月17日 将棋日本シリーズ準決勝

対豊島将之竜王 ●

10月26日 NHK杯本戦

対羽生善治九段 ●

11月9日 王位戦予選

対片上大輔七段 ●

12月11日 竜王戦ランキング戦2組

対杉本昌隆八段 ○

1月10、11日 王将戦七番勝負第1局

対永瀬拓矢王座 ○

1月16日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対野月浩貴八段 ○

1月16日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対永瀬王座 ○

1月19日 竜王戦ランキング戦2組

対郷田真隆九段 ○

1月23、24日 王将戦七番勝負第2局

対永瀬王座 ○

1月30、31日 王将戦七番勝負第3局

対永瀬王座 ○

<糸谷八段の最近10局>

12月3日 ヒューリック杯棋聖戦2次予選

対都成竜馬六段 ●

12月7日 朝日杯将棋オープン戦2次予選

対服部慎一郎四段 ○

12月7日 朝日杯将棋オープン戦2次予選

対大石直嗣七段 ●

12月11日 棋王戦本戦(敗者復活戦)

対永瀬拓矢王座 〇

12月18日 棋王戦挑戦者決定二番勝負第1局

対広瀬章人八段 ○

12月22日 順位戦A級

対菅井竜也八段 ●

12月28日 棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局

対広瀬八段 ○

1月8日 順位戦A級

対広瀬八段 ●

1月28日 竜王戦ランキング戦1組

対木村一基九段 ●

2月3日 順位戦A級

対佐藤天彦九段 ○

 三冠を保持する渡辺棋王(名人・王将)の直近10局は7勝3敗で現在7連勝中と勢いが止まらない。並行して戦っている王将戦七番勝負でも粘り強さに定評のある永瀬王座に3連勝し防衛まであと1勝としている。

 対する糸谷八段の直近10局は5勝5敗の五分。本棋戦では敗者復活戦から勝ち上がっての挑戦、タイトル戦番勝負登場は2016年秋の第64期王座戦五番勝負(羽生善治王座に0勝3敗で敗退)以来とあって期待がかかる。

 今期順位戦でもA級残留を決めたばかりと糸谷八段の状態は決して悪くないが、調子の面では渡辺棋王が一歩上回っているといっていいだろう。

角換わりを中心とした力戦が本命

 両者のタイトル戦番勝負は2015年の第28期竜王戦七番勝負以来。この時は糸谷竜王(当時)に挑戦した渡辺棋王が4勝1敗で勝ちタイトルを奪取した。

 直接対決は15局あって渡辺棋王が15勝5敗(1持将棋)と大きく勝ち越しており、2017年以降は渡辺棋王の6連勝と差が開いている。

 戦型は過去のデータから角換わりを中心としたねじり合いの展開が本命で、糸谷八段の後手番では力戦振り飛車も見られると予想する。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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