Yahoo!ニュース

藤井竜王への挑戦権をかけ広瀬九段と佐々木八段が激突――第37期竜王戦挑戦者決定三番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
今期竜王戦七番勝負に4連覇がかかる藤井聡太竜王(筆者撮影)

 藤井聡太竜王(22)=名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖への挑戦権を争う第37期竜王戦(読売新聞社主催)は7月29日、東京都渋谷区「将棋会館」で広瀬章人九段(37)と佐々木勇気八段(29)の挑戦者決定三番勝負第1局が行われる。データを基に勝敗と展開を予想してみた。

上り調子同士の対決

<広瀬九段の最近10局>

4月4日 竜王戦1組出場者決定戦

対木村一基九段 ○

4月26日 王座戦本戦

対久保利明九段 ○

5月24日 竜王戦1組出場者決定戦

対森内俊之九段 ○

6月5日 王座戦本戦

対豊島将之九段 ○

6月20日 順位戦B級1組

対斎藤慎太郎八段 ○

7月4日 王座戦本戦

対羽生善治九段 ●

7月11日 順位戦B級1組

対近藤誠也七段 ●

7月18日 竜王戦決勝トーナメント

対斎藤慎太郎八段 ○

7月22日 ALSOK杯王将戦2次予選

対服部慎一郎六段 ○

7月26日 竜王戦決勝トーナメント

対山崎隆之八段 ○

<佐々木八段の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

2月29日 順位戦A級

対斎藤慎太郎八段 ○

3月22日 ヒューリック杯棋聖戦本戦

対西田拓也五段 ●

3月28日 竜王戦2組

対阿部健治郎七段 ○

4月19日 竜王戦2組

対八代弥七段 ○

5月24日 竜王戦2組決勝

対郷田真隆九段 ○

6月19日 順位戦A級

対豊島将之九段 ○

7月4日 叡王戦予選

対神谷広志八段 ○

7月11日 棋王戦コナミグループ杯本戦

対梶浦宏孝七段 ●

7月17日 竜王戦決勝トーナメント

対久保利明九段 ○

7月25日 竜王戦決勝トーナメント

対佐藤康光九段 ○

 両者の直近10局は広瀬九段が前年度順位戦A級陥落の不調から立ち直り8勝2敗。佐々木八段は各棋戦で安定して勝ち星を挙げ同じく8勝2敗で、どちらも上り調子。竜王戦では難敵を次々と破っていて、調子の面では全くの互角といえるだろう。

戦型は角換わりと相掛かり中心か

 これまでの両者の対戦成績は広瀬九段の4勝3敗と拮抗している。戦型は角換わり腰掛け銀が5局に横歩取りが2局。横歩取りはいずれも佐々木八段の後手番。

 最近の戦法の選択傾向を加味すると、広瀬九段先手ならば相掛かりか角換わり志向、ただし後手番の佐々木八段が横歩取りに誘導する可能性もわずかにあるだろう。

 佐々木八段先手の場合は角換わりが大本命で矢倉や相掛かりを用いる可能性も多少はあるが、広瀬九段は変化せず相手の注文を受けて立つだろう。

 調子や過去の対戦成績を総合すると今回の三番勝負は全くの互角で、熱戦が期待できそうだ。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

古作登の最近の記事