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ワインディング系暴走ライダーに言いたいこと

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
(写真:アフロ)

また苦言を呈さなくてはならない。交通マナーについてだ。言いたくはないが、かといって黙っているとより悪い方向にいってしまう。最悪の結果になってしまう前になんとかしないとならない。

箱根や伊豆で出会った「危険な走行」の現実

ロケやツーリングでよく出かけるのが箱根や伊豆方面。先週もマスツーリングに出かけたが、そこで出会ったのがワインディングロード(峠道)で暴走を繰り返す一団。

単独もいれば、数台が一緒に連なって大暴走大会を繰り広げている。革ツナギにフルフェイス、爆音をふりまくレーシングマフラーとプロダクションレース用タイヤを履いて、同じ区間をまるで公道レースまがいのペースで車体を軋ませながら走っている。

さらに追い打ちをかけるように、普通にツーリングを楽しむライダーたちをインからアウトから抜いていく。一度など、ブラインドになっている左コーナーを黄色のセンターラインの外側から飛び込んでいった輩がいて、「うわっ、危ない」と思った瞬間、対向車が現れて危うく正面衝突かという場面も。間一髪回避できたが、対向車だけでなく後続のバイクにも急ブレーキをかけさせていた。

もう見てられないというか、いつか近い未来に必ず事故を起こすだろうと確信できる走り方だ。事故が起きてしまってからでは遅いのだが、少なくとも誰も巻き添えを出さないよう祈るだけだ。

こういった危険な走行で、他人を巻き込んでしまうような行為は、マナーどころかルール違反も甚だしく、もっと言えば犯罪に近いのでは。

気持のいい春の陽気と美しい景色に囲まれて穏やかな気分でいたいのに、彼らの心無い行いのせいで一瞬のうちに台無しになってしまった。

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事故に対する想像力の欠如

以前、自分ひとりのときに、同じような一団を見かねて遠回しに諭したことがあった。展望スペースでたむろしている彼らは、少なくとも20代の若者という感じではない。

「ここは道に慣れていないサンデードライバーも多いから、もう少し慎重に走ったほうがいいですよ」と私。すると、驚いたことに「ヘタな連中が多いから危ないよね」と彼ら。「でも、一般の人から見たら、逆にキケンな走りと思われているかもしれませんよ」と続けたら、カチンときたようで表情が一変、無視されてしまったことがあった。

また以前にも「自分が単独で死ぬぶんには別に構わないでしょ」と言ってのけた輩もいた。それは想像力が欠如しているとしか言いようがない。大きな事故が起きれば、交通規制が敷かれて渋滞も起きるだろうし、警察や救急隊やドクターヘリが出動したり、事故の後始末だって人手がいる。

道路が傷めば補修も必要だし、事故の影響でその路線が二輪通行禁止となり、多くの一般ライダーが楽しみを奪われることになるかもしれない。

たとえ親兄弟すらおらず天涯孤独で友人も仕事関係の付き合いもない人であっても、それだけの迷惑をかけることになるのだ。そして、誰がその代償を払う?子供でも分かりそうなことだ。

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その場にいるとカッとなってつい感情論になってしまいがちだが、ここはひとつ冷静になって理詰めで根気よく改善策を考えていくしかない。単に取締りを強化するだけではイタチごっこになってしまうだろう。

ライダー仲間でも現地で草の根運動を続けている人たちもいる。まずは、ライダーひとりひとりの自覚が必要。そして、できれば勇気をもってひと声かけてあげたい。「大人げないよ」と。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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