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「兵器」として飢餓を引き起こすイスラエルーガザで50万人が「壊滅的な飢餓の危機」に直面

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
深刻な栄養失調に苦しむガザの子ども(写真:ロイター/アフロ)

 昨年10月からのイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃は、爆撃等の直接の人的被害のみならず、食料危機も引き起こしており、ガザの人々を追い詰めている*。国連人権理事会に提出され、その中身が今月12日に公表された独立調査委員会の報告は、「戦争手段としての飢餓を引き起こした」として、ガザでの食料危機は、イスラエルによる戦争犯罪であると指摘。また、国連が支援する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は、今月25日に最新の報告書を公表。それによると、ガザの全人口の4分の1近くである約50万人の人々が「壊滅的な飢餓」に見舞われるリスクに直面しているのだという。

*【注意】本稿はショッキングな映像/写真を引用している。現地の深刻な状況を伝えるためであり、ご了承いただきたい。


〇餓死するガザの子ども達

 東京23区の6割程度の面積のガザは、昨年10月のイスラエルによる大規模攻撃の以前から、2007年以降、封鎖されており、人々は困窮しきっていた。2006年に行われたパレスチナ自治区の選挙でハマスが勝利しガザを実効支配するようになったことへの、いわば集団懲罰として、イスラエルはガザを封鎖し、人やモノの出入りを厳しく制限し始めたのである。こうしたことから元々、生活が厳しい状態にあったガザの人々は、昨年10月からの大規模攻撃の中で、国連や人道支援団体による支援物資が届きにくくなったことにより、極めて深刻な食料危機に苦しめられている。状況は深刻で、ガザの人々は栄養失調となり、子ども達が餓死することさえ起こり始めているのだ。

〇「ガザ絶滅作戦」としての人道支援への攻撃

 問題は、この飢餓がガザ攻撃の余波として起きているものではなく、イスラエル側が「ガザ絶滅作戦」の一環として、意図的にガザの人々を飢えさせているのではないかということだ。2023年10月9日、イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は「ガザには電気も水も食料も燃料もない。全てが封鎖されてている。我々は動物(=ガザ住民)と戦っており、それに応じて行動している」と述べた。また、同月17日、イスラエルの国家安全保障大臣で国家安全保障問題担当閣僚委員会の委員であるイタマル・ベン・グヴィル氏は、X(旧ツイッター)に「ハマスが捕虜を解放しない限り、ガザに入る必要があるのは空軍からの数百トンの爆発物*だけで、人道支援は1グラムたりとも必要ない」と書いた。

*実際には、数百トンどころか、中東系メディア「クドス」等によれば、昨年10月から現在までに約7万9000トンもの爆発物がガザで使用されたという。これが事実ならば、TNT火薬に換算で広島型原爆の5倍以上という凄まじい量だ。

 こうした政府要職らの発言を受けてか、イスラエル軍は人道支援関係者を執拗に攻撃。OCHA(国連人道問題調整事務所)は、2023年10月7日以降に少なくとも249人の援助活動家が殺害されたと報告した。この中には、国連職員181人とパレスチナ赤新月社(PRCS)の職員およびボランティア27人が含まれているという。

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フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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