米国における日本人個人発明家の対アップル特許侵害訴訟が実質審理なしで終了
先日のNHKの番組「逆転人生」の「最強アップルVS.貧乏発明家」の回ははなかなか興味深かったです。日本人の個人発明家、齋藤憲彦氏がiPodのクリックホイールに関する特許権により、米アップルから約3億円の損害賠償を勝ち取ったという話です。余談ですが、番組内で特許庁の審査官らしき人から、会議室で拒絶理由通知を突き付けられるという演出があってちょっと笑いました(実際には書留で送ってくるだけです)。特許実務をリアルにやると地味すぎてテレビ映えしないのでしょうがないのでしょう。
この件については過去にいくか記事を書いています(「【速報】日本人個人発明家がアップルから3億円ゲット」、「アップルから日本の個人発明家への3億3600万円支払判決が確定」、「アップルに特許訴訟で勝った個人発明家のブログにあった苦労話」、「個人がアップルに勝つための特許戦略」)。
さて、これとはまったく別の米国の話ですが、同じく日本人の個人発明家の方が3D Touch関連の特許でアップルを訴えた件についても昨年6月に記事を書いています(「日本人個人発明家が3D Touch機能に関してアップルに特許侵害訴訟」)。この件も、日本の齋藤氏のケースと同じく、真っ当な特許権に基づいた正当な権利行使である(パテント・トロール案件ではない)と見ていました。
しかし、この訴訟は、つい先週の4月5日に原告の訴え取り下げにより終了していました。アップルからもご本人の(ものと思われる)ブログでも特に発表はありませんので、条件非公開で和解となったものと思われます。訴訟記録上は特許に関する実質的な審理は行なわれていません(ただし、当該特許にはアップルによりInter Partes Review(日本で言う無効審判のようなもの)が請求されています)。本特許に関してどういう議論がされるのかは興味があったので残念ではありますが、ここで私が文句を言ってもしょうがありません。