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メッシとグアルディオラの「再会」はあるのか?バルサの黄金時代への郷愁とシティの新たな可能性。

森田泰史スポーツライター
メッシとグアルディオラ監督(写真:アフロ)

リオネル・メッシが、バルセロナからの退団を希望している。

メッシは8月25日に弁護士を通じてバルセロナにburofax(ブロファックス/内容証明書)を送った。その中身は2019-20シーズン限りでバルセロナを退団したいというものだった。

一方、バルセロナ側はメッシが2021年夏まで契約を残していると主張。今年の6月10日までに退団希望を伝えなければ、2019-20シーズン終了時のフリーでの移籍は不可能だという認識でいる。契約解除金7億ユーロ(約840億円)が用意されなければ、移籍は容認しない構えだ。

バルセロナの黄金時代/筆者作成
バルセロナの黄金時代/筆者作成

ただ、メッシがジョゼップ・マリア・バルトメウ会長とバルセロナの理事会に不満を抱いているのは確かだろう。

そこで移籍先の有力候補とされているのがマンチェスター・シティだ。シティは2008年に投資会社アブダビ・ユナイテッド・グループ(ADUG)に買収され、シェイク・マンスール・ビン・ザイド・アル・ナヒヤンがオーナーに就任。そこから大型補強を敢行するようになり、2016年にはジョゼップ・グアルディオラ監督を招聘してイングランドと欧州での地位を確固たるものにした。

メッシとグアルディオラ監督はバルセロナで共に仕事をした。2008年にバルセロナのトップチームの指揮官に昇任したグアルディオラ監督はメッシ、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタを中心にしたチームを作り上げる。ファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)という戦術を敷き当時ドリブラーだったメッシをゴールスコアラーに変貌させた。

グアルディオラ監督はバルセロナで14個のタイトルを獲得した。攻撃の主軸に据えられたメッシだが、特筆すべきは2011-12シーズンで、公式戦60試合73得点(リーガエスパニョーラ37試合50得点)を記録している。

筆者作成
筆者作成

となると、気になるのはシティ・ペップにおけるメッシの起用法だ。

シティは今夏、バレンシアからフェラン・トーレスを獲得している。移籍金固定額2300万ユーロ(約27億円)+ボーナス1200万ユーロ(約14億円)でサイドアタッカーを確保した。

フェランを獲得したのは、攻撃時に奥行きをつくるためだろう。フェランはバレンシアで右サイドを主戦場としていた。大きなストライドとスピード、突破力が武器の選手で、近年では希少価値の高い順足のアタッカーだと言える。

左のウィングにはラヒーム・スターリングが入る。スターリングは19-20シーズン、プレミアリーグ33試合出場20得点。グアルディオラ監督の下でシティの得点源となっている。

シティの仮想布陣(メッシの背番号は仮)/筆者作成
シティの仮想布陣(メッシの背番号は仮)/筆者作成

考えられるのはメッシをCFに据える形だ。その場合、ウィングは斜めに走り込む必要がある。バルセロナでは、ペドロ・ロドリゲス、ダビド・ビジャがその役割を担っていた。ラヒーム・スターリング、フェランがそのタスクに与え、ペップ・シティでメッシの新たなファルソ・ヌエベが見られる可能性はある。

先述したように、シティは2008年のシェイク・マンスールのオーナー就任以降、急速に力をつけてきたクラブだ。だが、彼のオーナー在籍期間にチャンピオンズリーグ制覇は成し遂げられていない。そのラストピースがメッシだとしたらーー。ペップの頭の中にはすでに図が明確に描かれているかも知れない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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