「柳田の脇腹は大丈夫?」「日本ともう一度対戦したかった」 韓国選手が語った言葉【東京五輪・野球】
東京オリンピック(五輪)野球、韓国は5日の準決勝・敗者復活でアメリカ合衆国に2-7で敗戦。日本が待つ決勝戦進出がなくなり、7日12日にドミニカ共和国と3位決定戦を戦う。
五輪はリーグ公式戦や野球だけの国際大会に比べて取材の制約が非常に多く、加えて感染症の拡大で現場との接触が極めて限られている。そのような状況で触れた、韓国選手の言葉をまとめた。
7月26日に来日した野球韓国代表。その直後に今回33歳で初めて代表入りした内野手のチェ・ジュファンにその思いを尋ねた。これまでにも記事で紹介してきたが、彼は柳田悠岐と吉田正尚に心酔する「フルスイングマニア」。両選手は日本代表として五輪に参加している。
チェ・ジュファンに「代表選手になって柳田と吉田正がいる日本と対戦する日がきそうですね」と問うと、「そうなんですよ!」と興奮を隠さなかった。そしてこう続けた。
「柳田の脇腹の状態は大丈夫ですか?」
韓国は来日前日までソウルで強化試合を戦うなどあわただしく過ごしていたが、そんな中でもチェ・ジュファンは日本の記事に目を通し、柳田のコンディションをチェックしていた。
右脇腹に違和感があり、別メニューで大会前の強化合宿をスタートさせた柳田だったが、筆者が侍ジャパンの強化合宿(仙台)を取材した7月23日には外野守備練習で軽快な動きを見せ、25日の巨人との強化試合にも出場した。そんな情報についてチェ・ジュファンとやり取りをした。
「日本ともう一度対戦したかった」
試合後の会見でそう口にしたのは2度目のアメリカ戦で、3安打を記録した22歳の内野手キム・ヘソンと、先発登板し好投した19歳のイ・ウィリだ。彼らは銀メダル以上が確定となる決勝戦進出決定を強く望んでいたことだろう。
韓国は兵役の義務があるスポーツ選手が五輪でメダル獲得(金、銀、銅問わず)、またはアジア大会の金メダルで免除恩恵を受けられる。今回の野球韓国代表には対象者が7人いるがキム・ヘソンとイ・ウィリはそれに含まれるからだ。
ただ「決勝進出したかった」と言えば国民の義務である兵役というセンシティブな問題と紐づく印象を持たれる。会見では年上のキム・ヘソンが「必ず勝たなきゃいけない試合だった。日本とまた対戦できず残念です」と答えた後、キム・ヘソンの顔を見たイ・ウィリが、ほぼ同じ内容を語った。若い2人が言葉を選んでいるのを見て、少し不憫に思った。
「五輪出場は小さい時からの夢だった」
22歳で代表チームの4番に指名され、2番起用された2度目のイスラエル戦では4安打を放ったカン・ベクホの会見での言葉だ。ふてぶてしい面構えと力強いスイングから、豪快さを感じさせるカン・ベクホだが、彼の言葉選びにはいつもセンスと繊細さを感じる。
前回五輪で野球が行われた2008年、北京大会当時のカン・ベクホは9歳。9戦全勝で金メダルを獲得した韓国代表の姿を見て育った世代だ。彼は4番の重圧について「先輩が『プレッシャーは俺たちが背負うから』と言ってくれて気が楽になった」と話した。その先輩とは代表の主将で、20歳の時に北京で戦ったキム・ヒョンスだ。カン・ベクホもまた兵役の義務がある。
「選手はしっかり休んで、いいコンディションで(ドミニカ共和国戦)に臨んで欲しい」
キム・ギョンムン監督はアメリカ戦敗北後、3位決定戦に向けてそう語った。
韓国代表は6日の休養日を挟んだ7日、最後の大一番、銅メダルをかけた戦いに挑む。
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