「山本由伸は打てない」「でも勝てないとは思わない」 韓国の選手たちが語った言葉【東京五輪・野球】
東京五輪の野球準決勝、日本-韓国が4日19時から行われる。「日韓戦」というとどこか物々しく、またそれを過度に煽る媒体も少なくない。一方で実際に戦う選手の心情はあまり知られていない。
韓国KBOリーグの各チームには主力、若手問わず日本球界通の選手が数多くいる。彼らは「YouTubeで映像を見ている」といい、日本の選手のことをよく知っている。
今回33歳で代表初選出の内野手チェ・ジュファンは、フルスイングが代名詞になっている柳田悠岐と吉田正尚に傾倒。動画で打撃を参考にしている。さらに「ヤナギタのシンチョウは…」と暗記したプロフィールを片言の日本語で話し、シーズンオフに大阪に行き「吉田のTシャツを買っちゃいました」というほど入れ込んでいる。チェ・ジュファンは吉田正より6学年上だ。
また代表外野手のイ・ジョンフも日本の選手に詳しい。以前「山﨑(康晃)投手のフォークボールは鋭く落ちますね」と話してきた。彼に「あれはツーシームらしいですよ」と伝えると、「えっ、そうなんですか?」と驚いていた。
またイ・ジョンフは「千賀(滉大)投手や菅野(智之)投手といった、いい球を投げる投手と対戦してみたい」と語ったこともあった。
準決勝韓国戦、日本の予告先発は山本由伸だ。その山本について「もし対戦したら」と複数の選手に訊ねたことがある。すると彼らは「無理です」、「打てません」と答えた。2019年のプレミア12で代表入りしていたキム・ジェファンは山本について「ネットで動画をよく見るけど、あんな速いスピードから鋭く落ちるフォークは見たことがない」と話していた。
韓国の選手の多くが日本のトップクラスの面々に一目置いている。しかしいざ対戦となるとこうも口にする。「いい投手だって失投する」、「打つのは難しいけど、勝てないとは思わない」。彼らもリーグを代表するプレーヤーだ。プライドがある。
先日筆者は五輪関連のラジオ番組にゲスト出演した際、60代の男性アナウンサーから「韓国というと『奇策』を仕掛けてきますよね」と言われた。多くの人がそう思っているのかもしれない。
ただそれは十数年前の話。代表守護神のオ・スンファン(元阪神)のように韓国のトッププレーヤーが日本でも活躍し、両国の選手は互いを知り、認め合う関係になっている。彼らが望むのは奇策ではない。ハイレベルな真剣勝負だ。
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