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デモ参加は就活に悪影響なのか?その3~顔出し・名前出しのリスク

石渡嶺司大学ジャーナリスト

出版業界のキャリア・就活分野で誰からも愛されるキャラクターを目指す予定だった石渡です、こんにちは。

気が付けば、炎上キャラクターと化している今日この頃です。

さて、就活とデモ参加の関連コラム、第三弾。

デモ参加は就活に悪影響なのか・その1

デモ参加は就活に悪影響なのか・その2

堀江貴文さんが、例によって、と言いますか、就活とデモ参加の是非でTwitterにてこんなコメントをされています。

でも安保反対デモに行ってる事カミングアウトしたら私は採用しませんよ。仕事出来ないと思うから

思想で不採用だと言ってるのではなく、間違った理論に盲従する頭悪そうな奴だなって思うだけ。

そして、これも例によって、と言いますか、デモ支持者とやり取りされています。

ここで、デモ支持者の方は、思想差別に当たる、と指摘。

一方、堀江さんは、デモ参加が「間違った理論に盲従」としています。

私としてはまずここが引っかかるところ。

デモ参加=安保法案反対を正しい理論とするのも思想ですし、その逆に間違った理論とするのも思想です。

堀江さんからすれば、デモ参加が間違った理論、ということでしょう。で、そうではない、とする人もいるわけです。

それを、堀江さんが「思想で不採用というわけでなく」とするのは、やや無理があるか、と。

名前出し、顔出しはやっぱりリスクあり

デモ参加学生が、ちょっと配慮がないのでは、と思うことがあります。堀江さんのように「頭が悪い」とまでは言いませんが。

どのあたりか、と言えば、マスコミ取材に対する名前出し、顔出しについてです。

マスコミの片隅にいる私が言うのもなんですが、ちょっと簡単に名前出し・顔出しをしていないでしょうか。

リスク管理という点では全く勧められません。

という話を出すと、思想差別を持ち出す方がいますが、そこが問題ではなく。

ネット社会となり、市井の人が簡単に注目を集める時代です。それがいい方向に転べばいいですが、そうでない場合はどうでしょうか。

いわゆる炎上という事態になります。

それも、南海キャンディーズ・山里亮太さんや、堀江さん、あるいは私のように、名前を出すことでビジネスをしている人であれば、炎上もそれほど問題ではありません。

「悪名もまた名なり」で、それがビジネスに反映されるのでそれほどマイナス、ということもないのです。

しかし、一般の社会人や学生であればどうでしょうか。

平穏な日常がネット・SNSで一方的に断罪される、というのは、なかなかの苦痛となります。

苦痛というだけでなく、勝手に個人情報などを流出させる輩もいるわけで、その場合、実害はネット・SNSだけでなく、日常生活にも及びかねません。

そのリスクをデモに参加して、かつ、簡単に名前出し・顔出しをしてしまう学生は認識しているのか、心配です。

長い目で見ると損、ということも

みわよしこさんが、デモ関連で先月、コラムを出されています。

大変すぐれたコラムで、その中に、将来のリストラの可能性、それから、学生が想像つかない使われ方を指摘しています。

社内イジメのターゲットとか。

他の社員の忠誠心を試すための人間型「踏み絵」とか。

泳がせておいて、好ましくない思想信条を持つ他の社員を洗い出すのに使うとか。

「社内で好ましくない思想を持つとされている」という表看板で給料だけは与えておき、さまざまな汚れ作業の実働要員に使うとか。

きったないぞー。きったないぞー。オトナはきったないんだぞー。

これも、デモ支持者からすれば、

「それって思想差別だし、そもそもおかしい」

と反発される方がいます。

確かに思想差別と言えば思想差別です。

が、それをおかしい、と指摘したところで、現実問題として起こりうるリスクです。

そのリスクに備える方策が、

「それって思想差別だし、そもそもおかしい」

というのは、どうなんでしょうか。

思想差別は思想差別として、リスク軽減策を考えなければならないはずです。

そして、リスク軽減策とは、名前出し・顔出しを慎重にする、これしかないはず。

あるいは、名前出し・顔出しをするなら、様々なリスクが伴うことを覚悟するか。

デモ参加に肯定的な学術研究界や、あるいはデモ参加・安保法案反対の思想とリンクする政党または関連団体・企業に就職する、ということであれば、リスクがそれほど大きな問題にはなりません。

内定学生は特に慎重に

デモ参加で、私がもう1点、お伝えしたいのは、内定学生です。就活前の学生はまだしも、内定学生は、内定先、という所属を併せ持つことになります。

ネット・SNSで内定先をうっかり出していて、しかも、炎上した場合、実害は本人だけではありません。内定先に飛び火することも十分あり得ます。

匿名のお節介な電話(かつ、自分は善なる行為をしている、と信じている)が、内定先に殺到することもあり得ます。

それによって、すぐ内定取り消しになることはないでしょう。

ただし、みわさんの指摘通り、長い目で見て、人事考課などで大きなマイナスになることもあり得ます。

みわさんの言葉をお借りすれば、

「きったないぞー。きったないぞー。オトナはきったないんだぞー」

です。

デモ参加を止めるわけでなく、勧めるわけでもなく

という話を書くと、必ず、デモ支持者から、ネガティブな反応が出てきます。

「就活をダシに、デモ参加を脅す気か」

と。

私は別に自民党支持というわけでもありませんし、デモ参加を否定するわけではありません。

肯定するわけでもないですし、その辺は個人の自由、それこそ思想信条の自由でしょう。

ただ、デモ参加によるリスクを就活の専門家として指摘しているにすぎません。

なーんか、ゼロか100か、敵か味方か、極端なんですよね、デモ支持の方も、不支持の方も。

2009年、私が北海道大にて、講演。その後、就活デモのメンバーと対談したことがあります。

最初は、デモ主催学生だけでなく、他の学生も、と先方がリクエスト。特に、そのうちの1人が内定学生でした。その企業は、デモ参加の是非でガタガタ言う企業ではないだろうというところ。それでも、リスクが伴うよ、ということで登壇を止めました。

ご本人は登壇の機会を奪われて不満げでしたが、この学生のリスクを考えると、止めずにはいられませんでした。

話を戻します。

デモ参加、特に話題になっている安保法案について学生によって、賛成の方もいれば、反対の方もいます。

デモに参加する方もいれば、そうでない方もいます。

どちらの立場であるにせよ、違う立場の方への最低限の配慮と尊敬の念は忘れないでいただきたいと思います。

極論を受け入れているだけだと、左右問わず、社会に出てから狭い分野でしか仕事ができない、と私は考える次第です。(石渡嶺司)

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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