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沖悠哉、安部柊斗、浅野雄也らが初招集。東京五輪に向けた国内サバイバル。U-23合宿メンバーの布陣予想

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

森保一監督が率いる東京五輪に向けたU-23代表候補の合宿メンバーが発表。欧州組はもちろん天皇杯に準決勝から出場するJ1優勝の川崎フロンターレ、2位が確定のガンバ大阪からの選出はありませんでした。

森保監督は「次の日に天皇杯の準決勝がある。川崎とガンバは天皇杯を優先してもらいたい」と理由を説明します。ただ、現時点で23人ではあるものの「候補はさらに多くいましたし、もしかしたら今後、人数が変わるかもしれない。その時にはまたお伝えします」と追加招集の可能性も示唆しました。

GK 波多野豪(FC東京) 大迫敬介(広島) 沖悠哉(鹿島)

DF 渡辺剛(FC東京) 中村帆高(FC東京) 町田浩樹(鹿島) 大南拓磨(柏) 古賀太陽(柏) 橋岡大樹(浦和) 東俊希(広島) 岩田智輝(大分) 瀬古歩夢(C大阪)

MF 相馬勇紀(名古屋) 田中駿汰(札幌) 金子拓郎(札幌) 安部柊斗(FC東京) 高嶺朋樹(札幌) 金子大毅(湘南) 齊藤未月(湘南) 郷家友太(神戸)

FW 浅野雄也(広島) 前田大然(横浜FM) 上田綺世(鹿島)

「選手たちが主体的に自分たちの感情を表しながら思い切ってプレーしてくれることを望んでいます。私も含めたスタッフがあれやってくれ、こうしてくれと言って、それに従うだけではなくて、チーム内でのルールは伝えたいが、自分たちの持ってるものをプレーでの力、ピッチ内でもピッチ外でもキャラクターがあるので、少しでも日常の彼らの素顔を出してもらえるようにしてほしい」

森保一監督(著者オンライン撮影)
森保一監督(著者オンライン撮影)

今回は鹿島で守護神を担う沖悠哉をはじめ札幌の金子拓郎と高嶺朋樹、FC東京の中村帆高と安部柊斗、湘南の金子大毅、広島の浅野雄也に加えて、2019年のU-20W杯メンバーである郷家友太もこのチームでは初招集です。

彼らに関しては「持ってるものを代表として相応しいプレーをしたからこそ、ここに来られたことに自信を持って、持てる力を発揮してもらいたいと思います。今回のキャンプが終わった後に新しいシーズンが東京五輪に向けて、その先のA代表に向けてどういう成長を見せるかのスタートになる。選手にはフルで力を発揮してほしい」と期待を語ります。

筆者の質問

ーーACLを戦ってきたFC東京、神戸、マリノスの選手たちがあの独特の国際大会で得た経験、特にFC東京のゴールマウスを守った波多野選手は大きく伸びた印象ですが、そうした選手たちに何を持ち込んで欲しいですか?

「国内でも成長につながるものは大きいが、ACLと言う戦いはホントに大きな経験。その経験を生かしてもらいたい。これまでの波多野と今回成長した波多野の違いを見せてほしいです。まずは自分が成長したところ、経験して自信を深めたところをトレーニングの中から発揮してもらいたいと思います」

「ACLで自信につながるところもあったと思いますが、高いレベルの経験をして足りない部分も感じてきたと思う。代表候補の練習の中で足りなかった部分も改善してほしいですし、その姿勢を見せてもらいたい。経験を発信すると言うより、そういう姿勢によって自然と他の選手の力が発揮されていくと思います」

ーー今回はいつもリーダーシップを発揮している欧州組がいない中で、波多野選手はもちろん渡辺剛や齊藤未月と言った選手たちは黙っても自己主張すると思いますが、一人一人が主体的にコミュニケーションを取ったり、リーダーシップを発揮できるか、それぞれキャラクターがある中でも見ていきたいですか?またU-19代表ではテーマを決めて意見を言い合うグループワークを取り入れてますが、1つ大人の世代でそこまでしなくてもコミュニケーションの機会を増やすマネージメントなど考えていますか?

「サッカー以外の講義やグループワークに特別時間を取る予定はありませんが、少しでも自分の思いを喋ってもらえるように、表現してもらえるようにっていう環境づくり、サポートはしたいと思ってます。U-19の選手はそうしているが、今回のメンバーはU-24。チーム内ではレギュラークラス。いろんな社会性とか働きかけは日常の部分でやるべきところはあるが、すでに自己主張や自己表現能力を身に着けた選手たちだと思っています東京五輪やA代表を目指すなら、自己表現や自己主張の能力は発揮してもらいたい」

「ただ10、11月に欧州組でA代表の活動をした中、東京五輪世代を7人招集したが、彼らが見せたピッチ内外での自己主張、自己表現能力は高かった。そこを基準として、選手たちを見て、彼らがどれだけのパフォーマンスを見せてくれるのかを見ていきたい。その意味でも10・11月の活動はすごく今回に生きると思うし、国内組で活動する中で、同世代がどれだけ高いところでプレーしているかというのは、今回のメンバーも見てると思うの。その基準を持ってやります」

合宿の最終日には関東大学選抜とのトレーニングマッチが行われる予定です。その中でコンディションを見ながら、なるべく全員を使いたいと言う森保監督ですが、今のところシステムは固めずに柔軟性を持って行きたいといいます。その上で3バック、4バックそれぞれの布陣を予想します。

各ポジションの序列はあくまで実績や所属クラブでのポジションとの兼ね合いで、森保監督の現時点での評価を厳密に想定するものではない。特にGKは会見からも波多野と沖の評価が上がっていることは確実で、大迫も含め良い意味で横一線かもしれない。

こう見るとどこかしらのポジションにしっかりとハマる選手が多い。そして多くの選手が複数ポジションをこなせる。やはりベースは3バックを想定しているのかもしれない。その中で1トップ&2シャドーの選択肢が限られる。

ボランチの郷家友太やアウトサイドの相馬勇紀もシャドーはできる。薄いのは1トップで、上田綺世がコンディションを崩すようなことがあると、いきなり厳しくなってしまう。浅野も能力的にはこなせるが、追加招集があるとしたらやはり前線か。

本職という意味でアンバランス感が否めない。本番では当然、欧州組やオーバーエイジが加わるし、川崎やガンバ、現在J2の選手からもおそらく候補に入ってくるので、より4バックを採用しやすい。

ただ、今回は45分×2本で、もしかしたらオプションで3本目があるという。その2本目か3本目に4バックを使うかもしれない。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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