一面の銀世界 イタリア・ローマに大量の「雹」降り積もる
現地時間21日(日)夜、イタリア・ローマの街は一面雹(ひょう)に覆われ、まるで冬が到来したかのような光景に包まれました。
車が氷の山に埋まって立ち往生したほか、地下鉄の駅構内にも大量の雹が流れ込みました。また収穫期を迎えていたオリーブ農家でも、大きな被害が出ているもようです。
この雹をもたらした嵐は、上空に寒気を伴う「寒冷渦」と呼ばれる低気圧でした。
この影響でイタリアの山地では大雪が降り、平地では複数の竜巻が発生しました。またミラノやシチリア島などでも洪水が起き、イタリアは広く大荒れの天気に見舞われたのです。
東京・三鷹の雹
このニュースは、2014年に東京都三鷹市などで降った雹を思い起こさせます。上空に寒気が流れ込んだ影響で大量の雹が降って、6月にもかかわらず一面の銀世界となったのです。特に低地では、雨水とともに流された雹が積もって30センチにも達し、トラックが立ち往生したほどでした。
アメリカの例
一方アメリカでは、積もった雹によって銀世界どころか”氷山”のようになってしまったことがあります。
2004年8月ニューメキシコ州クレイトン周辺で大量の雹が降り、それが雨や川の水などで流されて、およそ5メートルも積もったのです。夏にもかかわらず、その雹の山が全て溶けるのには数週間も要したそうです。(写真はこちらのリンクで見られます。)
雹の記録
雹に関する様々な世界記録を紹介しましょう。
世界一大きいと記録されているのが、2010年7月23日にアメリカ・サウスダコタ州で降った直径20センチの雹です。一方で世界一重いとされているのは、1986年4月14日にバングラデシュで降った1.02キロの雹です。これはメロン一個分の重さに相当します。
これまでに最も多くの死者数を出した雹害は、1888年4月22日にインド北部で発生したもので、死者数は246人に上ったといわれています。
雹とフランス革命
歴史的な大事変を起こした雹もあります。
1788年にフランスで降った雹は、40年間で最悪といわれる農作物被害を起こしました。小麦が不作に陥り、パンの値段が跳ね上がって、飢餓や病気で苦しむ人々が増えました。これが原因で、前々から王政に不満を抱いていた国民の怒りが頂点に達し、翌年のフランス革命につながったといわれています。
雹自体は数分から15分程度のごく短い現象ですが、そのもたらす被害は長期わたって続くこともあるのです。