2日連続の延長戦 2日連続のサヨナラはならず《5/27 阪神ファーム》
きのう27日の夜、自宅そばの阪神甲子園球場から、ものすごい歓声が普段より長めに響いてきました。「あ、サヨナラ勝ちしたな」と思ってテレビをつけると、殊勲の福留選手がずぶ濡れになって走り回る姿!またリプレイで映し出されたベンチでは、藤浪投手に負けないくらいの笑顔で喜ぶ北條選手も。きのうもまた出番はなかったけど、日々貴重な経験をしていることでしょう。
さて阪神のファームも、26日は延長サヨナラ勝ちでした。この時は4対2とリードしながら9回に追いつかれての延長戦で、10回に梅野選手がピッチャー強襲のタイムリー内野安打を放っています。そして、きのう27日は初回に中谷選手がタイムリー二塁打で鮮やかに1点先制したものの逆転を許し、しかし7回に坂選手の犠飛、8回に横田選手の3号ソロ(まだ3号だったんですねえ)で、阪神が追いついての延長戦。結局10回は両チーム無得点で引き分けました。
2試合続けて延長戦というのは珍しいですね。今はウエスタン・リーグが、3連戦の最終日だけ9回打ち切りという申し合わせになっているので余計に。というわけで私の資料が正しければ、2011年の9月19日の中日戦(ナゴヤ)と23日のオリックス戦(鳴尾浜)で、ともに延長10回で6対6の引き分けでした。その間に公式戦がなかったので2試合連続では、それ以来です。2日連続となると、同じく2011年の6月14日と15日のソフトバンク戦(鳴尾浜)が延長10回で0対2、2対2という結果で、4年ぶりということになります。
では試合結果をどうぞ。なお試合前には阪神タイガース・ファームの月間表彰式が行われ、3、4月の月間MVP・中谷選手が受賞。この表彰を受けた選手はその日の試合で活躍できない…なんていうジンクスがあったのですが、中谷選手は1打席目にしっかりタイムリーを打っていますよ。また1軍から、きのうは俊介選手と北條選手が出場しました。
《ウエスタン公式戦》5月27日
阪神-ソフトバンク 9回戦 (鳴尾浜)
ソフ 001 100 100 0 = 3
阪神 100 000 110 0 = 3
※延長10回規定により引き分け
◆バッテリー
【阪神】島本-渡辺-加藤-玉置-トラヴィス-小嶋-鶴 / 梅野
【ソフ】東浜(7回)-伊藤大(1回)-巽(2回) / 張本-細川(8回~)
◆本塁打 横田3号ソロ(伊藤大)
◆二塁打 中谷、カニザレス2、江越
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]中:俊介 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .333
〃左:柴田 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .351
2]遊:北條 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .245
〃遊:植田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .184
3]三:今成 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .111
4]一:中谷 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .331
5]右中:江越 (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .287
6]指:緒方 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .206
7]二:坂 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .222
8]捕:梅野 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 1) .375
9]左右:横田 (3-2-1 / 0-1 / 0 / 0) .187
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
島本 5回 66球 (9-3-0 / 2-2 / 3.00) 145
渡辺 1回 14球 (0-1-0 / 0-0 / 2.13) 145
加藤 0.1回 6球 (1-1-0 / 1-0 / 0.00) 138
玉置 0.2回 13球 (1-1-0 / 0-0 / 6.32) 142
トラ 1回 16球 (1-1-1 / 0-0 / 0.00) 140
小嶋 1.1回 28球 (1-0-1 / 0-0 / 1.15) 143
鶴 0.2回 7球 (1-1-0 / 0-0 / 3.21) 143
試合経過
まず1回の攻撃。俊介がショート内野安打で出て、北條が左飛に倒れたあと今成の二ゴロで2死二塁となり、4番・中谷が左中間へタイムリー二塁打!1点を先取しました。
1回、2回と1安打ずつ許しながら0点に抑えていた島本ですが、3回は先頭の9番・古澤に左前打され、犠打と遊ゴロで2死三塁。続く3番・塚田に左前タイムリーを浴びます。4回には中前打した先頭の猪本を犠打で二塁へ進め、張本に中前タイムリーで2点目。5回は2死から真砂に中前打と盗塁を許しましたが、ここは追加点を与えず。島本は毎回の9安打で2失点、5回で交代しています。
リリーフ陣は、6回の渡辺が三者凡退。7回は加藤が登板して先頭の牧原をショート内野安打(植田よく追いついた!)で出し、次の金子圭はスリーバント失敗。ここで玉置に交代します。塚田の打席で盗塁を許し、さらに暴投で1死三塁。そのあと梅野の三塁悪送球で牧原が生還しました。塚田には右前打された玉置ですが、後続を断って終了。
初回に先制した打線なのに、2回に坂が右前打したあとは6回までノーヒットでした。走者も5回に2死から四球を選んだ横田だけ。しかし逆転され、さらに3対1と差を広げられた7回裏に先頭の江越が左翼線二塁打を放ち、緒方の一ゴロで1死三塁として坂が中犠飛。諦めムード蔓延だったスタンドも、少し息を吹き返します。
8回はトラヴィスが登板して、白根の中前打と代打・松中への四球で1死一、二塁とするも古澤は空振り三振、そして梅野が白根の三盗を阻止!0点で投げ終えました。するとその裏、ソフトバンク2人目の伊藤大から、先頭の横田がレフトへホームラン!カウント0-1 からの2球目、142キロの真っすぐを打っています。ただし後の3人は凡退してしまい、同点止まり。
9回は小嶋が、2死から塚田への四球とカニザレスの三塁線を破る二塁打でピンチを招きますが、無失点。こちらの攻撃も、巽から江越が右前打したものの得点ならず。2試合連続の延長戦に突入しました。10回は小嶋が釜元を左飛に打ち取って降板。代わった鶴は細川の右前打を許しただけで0点に抑えます。そしてこちらも、1死から横田はピッチャーへの内野安打で出たんですが盗塁失敗…。最後は柴田の二ゴロで試合終了です。
「右も左も抑えないと1軍では…」
登板は23日のファーム交流試合の楽天戦(甲子園)以来、先発は16日の広島戦(淡路)以来だった島本投手。振り返って「きょうはあんまり真っすぐが走っていなかったので、変化球でかわそうとして…ほとんど変化球を打たれた。投げ終わってから久保コーチに、変化球をストライクゾーンに入れすぎと言われました。真っすぐと同じように投げられるようにしたい」と話しています。
この日は何球かカーブを投げており「カーブを持ってはいたけど、中継ぎの時は使っていませんね。きょうは先発だったので。去年は先発でもほとんど投げていなかった。1軍ではまだ使えないかなと思います」とのこと。
ちょっとヒットが多かった。「そうですねえ」。でも5回で9安打されながら2失点というのは、よく抑えたのでは?「全然ダメでした。ダメだったから打たれた。クイックの時のピッチングが課題ですね。1軍でもランナーが出てクイックになってから球が上ずったので。きょうヒットは打たれたけど、ランナーを出してからは少し取り組んでいることができたかなと思う」。右バッターがずらりと並んでいた点は「全然気にならない。右も左も抑えないと使ってもらえないので」とキッパリ。
なお梅野選手とのバッテリーは1軍で何度もありますが、先発で組むのは初めてでした。試合前に「1軍で“イニングまたぎ”しているつもりでやっていこう!」と声をかけられたそうです。
「同じ失敗は繰り返さないように」
その梅野選手は、試合後の練習が終わって引き揚げてきた時に、ちょうどウエートルームへ向かう島本投手と会って、しばらく話し込んでいました。「ボール自体はいいので、“考え方”について話し合ったんです。きょうこうやって組んだので。例えば『同じ失敗を繰り返さないように』と。ランナーを三塁に置いて初球をレフトに打たれた。オープン戦同じようなことがあったから。わかっていて投げられないのはよくないですね。そこはリードした自分の責任でもありますし」
3回2死三塁で塚田選手に打たれた同点の左前タイムリーのことですね。確かに初球、144キロの真っすぐでした。そして島本投手自身も「1軍でも同じことがあった。初球を打たれたりしたので…」と反省しています。
松中大先輩からの教え
同点の3号ソロを放った横田選手は「感触はよかったです。飛距離は全然だったので、切れるな~って思っていました」という感想。それにしても、相変わらずバンバン頭を叩かれますねえ。スタンドまで音が聞こえてくるくらいで。「はい、痛いです」。何人からも祝福の“シバキ”がありましたけど、誰が強烈?「中谷さんのが一番。ばり痛いっす!」。やっばり。
試合前練習の際、掛布DCとソフトバンク・松中選手が話をしていて、そこに横田選手が加わるというシーンがありました。あれは?「松中さんは同じ左投げ左打ちだから、それで話を。きのう(26日)掛布さんから『聞いてみて参考にするか?』と言われていたんです」。なるほど。掛布DCびよれば「僕は右投げ左打ちだけど、松中は左投げ左打ちで横田と一緒だからね。バッティングのこと、左ももの使い方などを教えてもらった。快く受けてくれたよ」とのこと。
横田選手は「左手の使い方とかも聞きました。ロングティーの中で取り入れていこうと思う」と言っています。また、松中選手はインコースの球を打つのもうまいけど、それも参考にしていく?と振られ「まだ、そこまでは…」と答えたあと「段階を踏んで」と続けました。お、なかなか大人のフレーズだなと思ったら「かっこいいですか?」とニヤニヤ。はい、使う場所も使い方も完璧ですよ。
江越「積極的にいって好結果」、緒方「東浜に完敗」
江越選手は「積極的にいって結果が出ているので、よかったです。続けていきたい」と7回の左翼線二塁打、9回の右前打のマルチヒットを振り返っていました。打席で構えた時に、バットを揺らしたり止めたりするのは継続中?「そうですね。タイミングの取り方とかいろいろ試しながらやって、ある程度できてきたので、しっかり形にしてゲームで使えるようにしたいです。ヘッドの使い方も、だいぶ意識せずに自分の中で形になってきている。それを継続していければ」
最後は緒方選手です。大学時代から何度も対戦している、同い年のソフトバンク・東浜投手に空振り三振、見逃し三振、一ゴロという結果でした。「きょうは完敗です。アイツに言うといてください。“きょうは”完敗やって。“きょうは”のあとにビックリマークでお願いします」。きょうは!完敗、でいいんですかね。4回に見逃し三振を喫したインコースの球を「あれは手も足も出なかった。きょうはよかったですねえ」とライバルを素直に称える緒方選手でした。リベンジは1軍の舞台で!