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経団連こそサラリーマンの頼れる味方という現実

城繁幸人事コンサルティング「株式会社Joe's Labo」代表

先日、経団連会長が「痛みを伴う改革の実施」を政府に対して提言したことが話題となりました。

【参考リンク】榊原経団連会長「痛み伴う改革を」、安倍首相と会談

筆者はこれこそまさに正論であり、特にサラリーマンにとっては実施の不可欠な政策だと考えますが、誤解している人も多いようです。というわけで筆者が経団連の提言が正論であるロジックについて解説しておきましょう。

増え続けてきたサラリーマンの天引き

筆者は以前の記事で以下のように解説しています。

【参考リンク】消費税引き上げ見送りや増税分バラマキで何が起こるか

要するに、消費税を上げないと、所得ががっつり捕捉され取りやすいサラリーマンの負担が増えるだけだという話です。筆者のイメージでは半年くらい間を置いたうえで社会保険料等の引き上げがこっそり議論されるとみていましたが、選挙が終わって一週間も経たぬうちに早くも以下のような議論が始まっています。

【参考リンク】給与所得控除の課題など議論 政府税調

【参考リンク】教育無償化・負担減「企業は3000億円拠出を」 首相が要請

給与所得控除というのは、サラリーマンの経費として所得から控除することが認められているもので、見直しは実質的な所得税引き上げとなります。3000億円の拠出は事業主負担と書かれていますが、企業はそれらも含めた上で人件費とみなしており、昇給や賞与を削ったうえでねん出する企業が大半でしょう。つまり、実質的な本人負担ですね。

まとめると、選挙後、単に取りやすいからという理由だけでサラリーマンの負担を増やす議論がものすごいペースで進んでいるということです。

社会全体で負担するか、サラリーマンだけに押し付けるのか

それを回避するには、サラリーマンだけではなく高齢者や自営業にも負担してもらえる消費税を引き上げるか、118兆円に達している社会保障給付を見直す以外にありません。現実にはそれらを両方推進するべきでしょう。そう考えると、経団連会長の発言は「社会全体で痛みを共有する改革を実施しろ、サラリーマンだけに負担を押し付けるな」というロジックであり、少なくとも組織から給与を得ている立場の人間は歓迎すべきものだということは明らかでしょう。

世の中には「とにかく企業と労働者を対立させたい」という人たちや、上記をすべて理解した上で「サラリーマンだけに負担を押し付けたい」と腹の底で考えている人たちがいます。今こそサラリーマンも声を上げ、負担を巡る議論に率先して参加すべきでしょう。

人事コンサルティング「株式会社Joe's Labo」代表

1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。08年より若者マニフェスト策定委員会メンバー。

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