新聞断トツ、次いでテレビを信頼…海外ニュースの情報源としてのメディアの信頼度(2023年公開版)
海外ニュースに関して一番信頼されているのは新聞
実のところ情報の正確さはどこが伝えるかによるところが大きいのだが、発信メディアそのものが大きな判断材料となるのが現状。今回は総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、海外の各種ニュースの情報源としての観点から、各メディア単位での信頼の度合いを確認する。
まずは調査対象母集団全体の平均値。
新聞がトップ、テレビがそれに続き、ラジオがいくぶん低いものの、実質的にはテレビと同レベルの状態。4マスでは唯一雑誌が低いが、これはコンビニの棚などでよく見かける一般大衆誌までも含めて雑誌全般との認識で回答されているからだと考えられる。
インターネット系ではインターネットニュースサイトの信頼度は高く1.67。次いでソーシャルメディア、動画配信・共有サイト、ブログ・その他サイトと続くが、ニュースサイト以外は基準値の1.50を割り込んでおり、どちらかといえば信頼できない範ちゅうに該当することになる。
年齢で違いが生じる!?
続いて各属性別の違いを確認する。まずは男女別。
ほとんどの情報源で女性の方が高い値となっている。これは利用傾向そのものも多分に影響していると考えられる。もっとも男女どちらとも、テレビやラジオ、新聞、インターネットニュースサイトが信頼できる範ちゅうで、それ以外は信頼ができない領域であることに変わりはない。
続いて年齢階層別。
おおよそ全体値で信頼できる範ちゅうにあるメディアは、年齢が上になるに連れて信頼度も高くなる傾向がある。一方で元々値が低いメディアは年齢が上になるに連れて信頼度も低くなる動きを示している。
10代の信頼度が他の年齢階層(近接する20代や30代)と比べると突出する形で高いメディアが多数あるのは、幼い時からメディアとの接触に積極的となる一方(今件調査結果では元からその情報に関する情報取得元として該当メディアを利用していない場合、平均値の算出には考慮されない)、虚報や誤報の類との接触経験が少ないため、他の年齢階層と比べて純朴な状態で情報に接している結果かもしれない。特に、いわゆる4マスへは高い値が出ている。
続いて就業形態別。
特に際立った傾向は無い。無職の値が他の就業形態と比べ、多くの情報源で低めに出ているのが目にとまる程度。
最後は世帯年収別。
全体値で信頼できる範ちゅうにあるメディアはおおよそ高世帯年収ほど信頼度が高く、範ちゅうにないメディアは高世帯年収ほど信頼度が低くなる傾向がある。ただし雑誌は全体値で信頼できない範ちゅうにあるが、それでも高世帯年収ほど信頼度が高くなる。4マスの一員だからかもしれない。この動きは、世帯年収そのものでメディアの信頼度に影響が生じると見るよりは、年齢階層に引っ張られていると見た方が妥当性はある。
世帯年収区分や学生・生徒による変化はあるものの、おおよそ信頼度の変化は世代(年齢階層)によるところがある。各メディアに慣れ親しんだ期間の違いがそのまま、それぞれに対する信頼度に浅からぬ影響を与えているかもしれない。その仮説が正しければ、今後10年単位の変化の中で小さからぬ信頼度のシフトが生じることもあり得よう。
もっとも10年単位でメディアそのものの姿かたちも大きな変化を示すに違いないのだが。
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※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。
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