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五輪の最中に5個の熱帯擾乱が発生中

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
5個の熱帯擾乱の雲(ウェザーマップ)

5個の熱帯擾乱が発生中

実況天気図(ウェザーマップ)
実況天気図(ウェザーマップ)

東京五輪真っ只中ですが、天気図中にも5個の熱帯擾乱(ねったいじょうらん)が解析されています。

上図のABCEは熱帯低気圧、そしてDは低圧部で、これは低気圧性の循環は認められるものの、その中心がハッキリとしない熱帯擾乱となります。

これら熱帯擾乱の内、熱帯低気圧Aはきょう3日(火)午前3時頃に紀伊半島付近に到達し、近畿などに非常に激しい雨をもたらしています。またこの熱帯低気圧に伴い南風のフェーン現象が加わる北陸や東北南部の日本海側では極めて気温が上昇し、きょうは新潟県内で40度近くに達する計算もあります。

また諸外国の計算では熱帯低気圧B周辺で新たな熱帯低気圧が発生し、発達しながら台風の勢力となり、週末にかけて日本の南に進んでくる予想もあり、今後も目の離せない状況が続きそうです。

近畿や東海で激しい雨

雨の様子(ウェザーマップ)
雨の様子(ウェザーマップ)

熱帯低気圧が紀伊半島付近に到達したため、けさは近畿や東海で激しい雨が降っており、特に活発な雨雲が南北に連なるように発生した兵庫県や和歌山県では、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨を観測しました。

近畿ではきょうの夕方にかけて局地的に雨雲がかなり発達しそうですから、気象庁発表の危険度分布(キキクル)などで、常に最新状況を確認するように努めて下さい。

またきょうは熱帯低気圧が持ち込んできた熱帯の空気やフェーン現象の影響で、北陸を中心に、際立って気温が上がる所がありそうです。

気象庁の発表では、新潟県長岡で38度の予想となっている他、コンピュータの予想では、新潟県新津や三条で39度前後まで上がる計算も出されており、大雨や猛烈な暑さに警戒が必要です。

気になる諸外国の予想

ECMWFの予想に筆者加工あり
ECMWFの予想に筆者加工あり

参考までに、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)の計算では、沖縄付近の熱帯低気圧が990hPa未満の台風と思われる勢力に発達し、週末にかけて日本の南を進む予想となっています。

諸外国の計算では、比較的このような予想が多く出されており、なかには本州付近にかなり接近するような計算も散見されます。

日本の計算ではまだ台風の勢力となって進む予想はあまり見られませんが、今後も注意深く見ていく必要がありそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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