ノルウェー316人の市長60%が「難民に住居・仕事の確保が困難」と回答 政界を揺るがす難民政策
ノルウェー国営放送局NRKの調査によると、316人の市長の多くが、難民は受け入れるが、全員に住居と仕事を見つけることは難しいと回答した。
- 難民に住居は確保できるか?
できる 30%
できない 62%
わからない 8%
- 難民に仕事を確保できるか?
できる 11%
できない 57%
わからない 32%
- 大人の難民に比べて、単身でやってきた若い難民の受け入れはどうか?
より簡単 6%
同じくらい 18%
より難しい 64%
わからない 13%
(注:計101%)
ノルウェー移民・社会統合大臣のシルヴィ・リスタウグ氏(進歩党)は、難民申請者や難民の大量の受け入れは国の脅威になりうるとして、厳しい受け入れ規則を国会で可決させようとしている。
しかし、これまで移民大臣に同意・協力すると意思表示をしてきた政党の一部は、「家族ビザの獲得を難しくさせれば、社会で生きていこうとするモチベーションを失わせてさせてしまう」などとして、一部の案に難色を示している。
「非人間的だ」と非難されやすい進歩党に、距離を置き始める少数政党
通常は政権で合意体制にある自由党は、賛成するとしていた規制強化案「全て」に対し、一転し反対すると10日に発表し、世間を驚かせた。同じく同意体制にあるキリスト教民主党も、次回の選挙では現政権と対立する労働党と連立する可能性も示唆している。
市町村はNOと言うことはできない
ノルウェーでは、市町村は難民申請者や難民の受け入れに「NO」と言うことはできず、移民局から決定が下されれば、必ず受け入れなければいけない。
国営放送局の調査に回答した市長たちは、国が出費を負担しなければ、自治体の予算を削ることとなり、市民への社会福祉へのサービスがカットされるとしている。
「非人間的だ」と非難されやすい移民大臣と進歩党だが、実際に難民申請者や難民を受け入れなければいけない自治体のリーダーたちからは、厳しい声が届いている。来年の選挙では、難民問題が選挙の行方を左右することになりそうだ。
Photo&Text: Asaki Abumi