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“北陸シリーズ” 2戦連続完封勝ち。福井では小豆畑が決めた!《4/12 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
0対0の9回、1死満塁で走者一掃のタイムリー三塁打を放った小豆畑選手。

独立リーグ・ルートインBCリーグの開幕カードで、前日の富山GRNサンダーバーズに続いて12日は福井ミラクルエレファンツと対戦した阪神ファーム。この日は朝から青空が広がって、過ごしやすいお天気でした。開催場所は福井フェニックススタジアム(福井市営球場)で、福井にとって本拠地開幕戦。富山アルペンスタジアムに負けないくらい、ここでも黄色いユニホームの応援団の方々がいらっしゃいましたよ。それに福井の応援も素晴らしかったですね!

2011年から阪神ファームの監督、2013年からは1軍のコーチを務めた吉竹春樹さんが新しく監督となって、阪神からはシーズン前半に田面投手、後半にトラヴィス投手が派遣されます。そういうご縁もあって今回の交流試合が実現したのでしょう。吉竹監督とはご挨拶程度しかお話できませんでしたが、田面投手のことも含めて後日また書かせていただきます。

試合前のセレモニーで挨拶する福井ミラクルエレファンツの吉竹監督。
試合前のセレモニーで挨拶する福井ミラクルエレファンツの吉竹監督。

さて試合は、8回まで散発3安打で三塁を踏めなかった阪神。やはり連打がないもののチャンスは多かった福井。そこを投手陣が抑えて、0対0のまま9回を迎えました。富山戦に続きスタメンマスクをかぶった小豆畑選手が、最終回に大きな仕事をして“北陸シリーズ”連勝です!しかも2試合とも完封リレー。北陸のタイガースファンの皆さん、楽しんでいただけましたか?

《交流試合》4月12日

福井-阪神 (福井フェニックス)

阪神 000 000 004 = 4

福井 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】歳内-トラヴィス-伊藤和-山本 / 小豆畑

【福井】藤岡(6回)-藤野(1回)-田面(1回)-内藤(1/3回)-関口(2/3回) / 中溝

◆三塁打 小豆畑

◆二塁打 荒道(福井) 

◆打撃(打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]二一:荒木  (5-2-1 / 2-0 / 0 / 0)

2]指:緒方   (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃打指:小宮山 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]右:伊藤隼  (2-1-0 / 0-2 / 0 / 0)

4]三:西田   (3-0-0 / 1-1 / 0 / 1)

5]遊二:北條  (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0)

6]一:原口   (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

〃走遊:植田  (0-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

7]中:横田   (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃中:中谷   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

8]左:一二三  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

9]捕:小豆畑  (4-1-3 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/暴投-失策/失)

歳内  5回 59球 (1-3-3 / 0-0 / 0)

トラ  1回 15球 (1-1-0 / 0-0 / 0)

伊藤和 1回 15球 (1-0-0 / 0-0 / 0)

山本  2回 32球 (4-1-0 / 0-0 / 0)

経過1 8回まで3安打で無得点

打線は前日とは打って変わって8回まで3安打のみ。1回は荒木と緒方が連続三振に倒れたあと、伊藤隼が右前打しますが無得点。2回は原口の四球だけで、3回は三者凡退。4回は2死から北條が四球を選ぶも盗塁失敗、3人で終了です。5回2死からようやく一二三に、チーム2本目となる左前打が出ても得点にはつながらず。6回は2死から伊藤隼と西田が連続四球で、初めて二塁に走者を置きましたが北條は見逃し三振で0点。

2週間前とは違うユニホームで投げる福井の田面投手。背番号は30です。
2週間前とは違うユニホームで投げる福井の田面投手。背番号は30です。

2人目の藤野に7回は三者凡退。そして8回に大きな拍手で迎えられた田面が登板しています。小豆畑は初球で一邪飛、荒木が左前打を放ち、小宮山の三ゴロで二塁へ。伊藤隼は四球で2死一、二塁となるも西田が右飛。0点に抑えた田面を福井ベンチは拍手で迎えました。というわけで8回までわずか3安打。5四球で走者は出しているものの三塁へ進めず、得点はありません。

経過2 こちらの投手陣も無失点

先発の歳内投手は5回1安打無失点。
先発の歳内投手は5回1安打無失点。

最終回の前に投手陣です。先発の歳内は1回、1死後に連続で死球。2人目の3番・荒道はヘルメットに当たって場内が騒然としましたが、立ち上がって一塁へ。お客様も両軍ベンチも、何より歳内投手がホッとしたと思います。不安な立ち上がりながらボールは低めに集まっていたようで、2回はゴロ3つで三者凡退。3回は2死から2番・杉に右前打されるも荒道は変化球で空振り三振。3回は2死から四球を出しただけで問題なし。5回は2奪三振の三者凡退でした。

シーズン後半は福井に派遣されるトラヴィス投手も登板。
シーズン後半は福井に派遣されるトラヴィス投手も登板。

6回は、田面投手のあとシーズン後半に福井へ派遣されるトラヴィス。ご挨拶代わりの登板でしょうか。試合で投げるのは3月11日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)以来。先頭の杉を三振に仕留めたものの荒道に中越え二塁打を浴びてしまいます。センター横田の背走が、いつになく怪しかったですねえ。見失っていたかもしれません。1死二塁としたトラヴィスですが、4番・中溝を投飛、続く森田は一ゴロ(原口が一度こぼしたけれどベースを踏んでアウト)。

わき腹痛から復帰した伊藤和投手。
わき腹痛から復帰した伊藤和投手。

7回は伊藤和が1ヶ月ぶりの実戦登板。1死後に中前打、続く三塁線の打球を西田がはじくエラー、次の一ゴロで2死一、三塁。一塁走者が盗塁を決めて二、三塁となるも、最後は遊ゴロに打ち取って無失点。ピンチをしのいで、8回は田面のあとのマウンドへ地元・福井出身の山本が向かいます。やはり大きな拍手でしたね。先頭に自身の足元を襲う内野安打を浴び、1死後に中溝の右前打で一、二塁とするも後続を断って無失点です。

経過3 小豆畑が満塁で三塁打!

小豆畑選手の打球が左中間に落ち、ガッツポーズの阪神ベンチ
小豆畑選手の打球が左中間に落ち、ガッツポーズの阪神ベンチ

そして9回、まず阪神の攻撃から。先頭の北條は四球、原口が左前打で代走に植田、横田は空振り三振に倒れ1死となって一二三が四球を選んで1死満塁とします。ここで投手が内藤から関口に交代。小豆畑は初球のボールに続いて2球目をファウル、次の変化球を打った当たりは左中間を割り…北條、植田、一二三も還って小豆畑は三塁へ到達!満塁の走者を一掃するタイムリー三塁打となりました。さらに荒木が右前タイムリー!一挙4点を奪っています。

試合終了。古屋監督、香田投手コーチに迎えられる山本投手。
試合終了。古屋監督、香田投手コーチに迎えられる山本投手。

その裏は山本が続投です。7番の栗田と9番の森にヒットを許すなど2死一、三塁として、最後は代打の加藤をカウント2-2からインコース低めの真っすぐで見逃し三振!力のこもった1球で試合終了となりました。選手と、そしてベンチ前では監督やコーチとハイタッチする“勝利投手”の山本。内容的に納得はいかなかったようで、0点に抑えたものの苦笑いという感じです。

大応援団に「力が入った…」

ではまず、その山本投手の話からご紹介しましょう。声援がすごく多かったですね。「知り合いが、ろく…にん」。え、6人?「…じゅうにん」。10人も?すごい。「いえ、ろくじゅうにん」。ろ、ろくじゅうにんって言いました?「はい。知り合いが60人、プラス先輩や後輩や友だちも来てくれたので、もっと」。ご両親も来られていたし、全部で80人以上じゃないでしょうか。うわ~晴れてよかった。0点に抑えられてよかった。

「それで色んなプレッシャーがかかったのかも。それに0対0という場面だったし。勝ちたいと力が余計に入ってしまいました」と反省しきり。内容としては「(2イニングとも)先頭を出しているのが、ピンチになった最大の原因です。まず先頭を抑えないと。入り方に気をつけていきたいです」と話しています。最後の見逃し三振は?「インコースの真っすぐ。最後のバッターには、もう小細工しても仕方がないと思って全部インコース真っすぐでストライクを取りにいきました!」

地元で初めてユニホーム姿を披露した山本投手。「内容が…」と悔しがります。
地元で初めてユニホーム姿を披露した山本投手。「内容が…」と悔しがります。

それから「無失点を続けるのはもちろんですが、内容も意識していかないと。きょうも(地元の方々に)タイガースのユニホームでプレーするところを見せられたのはよかったけど、内容が…。課題は山積みです」と悔やむ山本投手。お父さんは「見ていたらアカンのかなあ。鳴尾浜へ行った時も打たれた」と苦笑いされました。でもきっと皆さん、喜んでいらっしゃいますよ。いつか1軍の公式戦で凱旋登板してくれることを期待しながら。

伊藤和は1ヶ月ぶりの復帰戦

左わき腹を痛めていた伊藤和投手は、これが3月10日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)以来の試合登板でした。「ブルペンではよかったんですけど、久しぶりの実戦というのもあったのかブルペンに比べて、よくなかったですね。フリーバッティングでしか投げていなかったので、バッターの立った感覚がちょっと違いました」と言います。今後に向けて「真っすぐはぼちぼちという感じで、変化球はまだまだですね。次はもっと行けるようにしたい。これから上げていきたいです」とのこと。

また歳内投手は「低めには集まっていたので、よかったと思います。だから内野ゴロが多かったのかなと。真っすぐの質?だいぶ上がってきたと思う」と話していました。

大きなチャンスに「ここしかないと思った」

荒木選手の右前打で生還し、ベンチで一二三選手に頭を撫でられる小豆畑選手。
荒木選手の右前打で生還し、ベンチで一二三選手に頭を撫でられる小豆畑選手。
そのあと中谷選手もなでなで。中谷選手、かなり長くやっていましたね(笑)
そのあと中谷選手もなでなで。中谷選手、かなり長くやっていましたね(笑)

トリは小豆畑選手です。0対0の9回、1死満塁の場面で左中間を破った3点タイムリー三塁打!「打ったのはツーシームです、おそらくは。ここしかないと、こういう時に打たないとって思いました」。その前に1球、ファウルした時点でも狙っていたそうです。キャンプから打撃好調でしたが「最近そんなには調子よくはなかった。きょうのヒットをきっかけにできればいいですね。次は公式戦で打ちたい」という小豆畑選手。

濱中打撃コーチも「小豆畑、よく打ちましたねえ!」と笑顔でしたよ。ただ本人は2試合続けてフルでマスクをかぶり、しかも2試合とも完封勝ちしたことが一番うれしかったと思います。地元・福井出身の山本投手を勝ち投手にできたのも、自身の一打ですもんね。試合後は知り合いの福井の選手に用具を渡すのに走り回り、バタバタと帰っていきました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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