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パプアニューギニアから、帰国の途についたヤングなでしこ。U-20女子ワールドカップ総括(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
チームから笑顔が絶えることはなかった(C)松原渓

U-20女子ワールドカップから帰国したU-20日本女子代表。

今大会のヤングなでしこの6試合を振り返る。

パプアニューギニアから、帰国の途についたヤングなでしこ。U-20女子ワールドカップ総括(1)

【笑顔を絶やさなかったヤングなでしこ】 

グループリーグ初戦から決勝戦まで、21日間で6試合を戦う短期決戦だったが、事前合宿を含めた約1ヶ月間の集団生活の中では、オンとオフの切り替えも重要なポイントとなった。

開催地となったポートモレスビーは治安面で不安視されていたため、選手たちはオフもホテル内で過ごす時間が多かったが、それぞれにうまくリフレッシュしていたようだ。

コーチ陣が準備した練習メニューにも工夫が凝らされていた。フリスビーを使ったドッジボールや、サッカーバレー(足を使ったバレーボール)など、様々なゲームが取り入れられた。準決勝のフランス戦で敗れた直後は下を向いていた選手たちも、翌日には気持ちを切り替え、いつもの笑顔になっていたのには驚いた。大会期間中を通じて、選手たちが笑顔を絶やすことは1日もなく、そこに、このチームの強さも感じた。

「本当に仲が良くて、オンとオフの切り替えもはっきり出来ていましたし、練習ではお互いを高め合ってきました。これでこのチームは終わってしまいますけれど、今後なでしこジャパンを目指していく上でも良き仲間であり、ライバルになると思います。」 (籾木結花)

選手たちが目指す次のステージはなでしこジャパン入りであり、2019年のワールドカップと2020年東京オリンピックでの世界一である。

今年5月に発足した新生なでしこジャパンは、2011年に世界一になった経験のある選手たちと、そこに続く次の世代に加え、今後は今回のU-20世代が加わる可能性がある。

世界一を目指すなでしこジャパン入りをかけた、新たなサバイバルが始まる。

【高倉麻子監督コメント(帰国後)】

ーー改めて6試合を振り返って、どのような大会でしたか?

フランスやスペインやアメリカがどのような強化をしているかということや、U-20のレベルが上がっていることも感じました。

日本は日本らしい戦いを目指す中で、課題としていることはずっと変わりません。フィジカル的な(マイナスの)要素がある中で、日本人の上手さやパスワークは、まるっきり他の国と違うアプローチの仕方をしています。他の国からも日本のサッカーは魅力的だと言ってもらっていましたし、現地の方々もすごく喜んでくれました。上手さとか、日本人でしかなし得ないあうんの呼吸というものは、他の国には真似できないものであることも感じました。

ただ、最後の後一歩のところで勝ち切るという意味では、体が一つ分、入らないとか、いい体勢でシュートが打てない中で、(準決勝のフランス戦では)結局、クロスでやられてしまいました。

(フィジカルの差は)いかんともしがたい壁がありますが、そこは絶対に打ち破らなければいけないものですし、きれい事でやれるものではありません。日本の選手は小さいですし、やはりパワーアップは絶対に必要だと感じました。それは、ユース年代からなでしこジャパンに至るまで同じだと思います。代表合宿だけでできるものではないので、育成に関係している方々にもちゃんと報告をして、(なでしこ)リーグと、各チームと、女子サッカー全体として、本気で取り組んでいきたいと思います。

ーー3位決定戦を終えて、最後のミーティングではどのような声を選手たちにかけたのでしょうか?

月並みですけれども、もっと強くならなければいけないですし、上手くならなければいけない、すべての面でレベルアップしていかなければいけないし、自分が日本を背負って立つという強い気持ちを持って取り組んでほしいと話しました。

ーーあらためて、今大会のヤングなでしこはどのようなチームでしたか?

みんな本当に明るく、いろいろなものにチャンレンジしてくれました。(指導してきた年月が長く、)付き合いが長かったこともありますけれど、選手が頑張っている姿や悩んでいる姿は、自分も以前(現役時代)はこうだったな、と思う部分があります。全員が、この先いいサッカー人生を歩んでほしいと思いましたし、どの選手がこの先(なでしこジャパン)に上がってくるのか、楽しみに待っているよと話しました。

ーー今後、選手たちにどのような成長を期待されますか?

練習試合ではなくて、ワールドカップの戦いで学んだことや体感したことは何にも代えがたい体験だったと思います。そういう中で感じたことを忘れずに持って帰って、毎日の練習の中でそれを積み上げていくしかありません。育成年代が終わって、今後、アスリートとしてどうやってサッカーを突き詰めていくかということは自分自身で考えていかなければいけないので、「自分の未来は自分で決めてほしい」と、あらためて伝えました。

ーーA代表でライバル関係を築いてきたアメリカに勝ったことについてはいかがですか?

私たちが優位に試合を進めて、29本のシュートを打ちましたが、なかなかゴールを割れませんでした。それはこちらの技術の未熟さでもあると思いますけれど、フランス戦も結局、決めきれず、最後にやられてしまいました。これまでは日本が(アメリカの攻撃に)耐えて、抵抗していた試合が、この育成年代だと、がっぷり四つにやって勝たなければいけないというステージにきているので、その点では、日本の力は上がっているのかなと思います。なでしこジャパンが2011年(ドイツ女子ワールドカップ)と12年(ロンドンオリンピック)と15年(カナダ女子ワールドカップ)の3大会で決勝まで行ったのは、(選手たちが)勝ち方を知っていた部分もあると思うので、そういうものも若い選手たちが覚えていかなければいけないと思います。私も、どうやって勝たせるかを考えていかなければいけません。

ーーパプアニューギニアの地元の応援についてはいかがでしたか?

初めはちょっと(治安面で)怖いとか、環境もあまり良くない部分があったんですけれど、本当に(地元の方達に)良くしてもらって、最後は皆さんと空港で涙のお別れでした。周りの人たちは、(日本の)バスが通るたびに手を振ってくれました。そういう風に迎えてくれる国は今までなかったので、選手たちもそれを感じて、応援してくれる人たちのためにも毎試合、気合を入れて試合をしていました。

(3)【選手コメント(帰国後)】に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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