トーナメント優勝の井上尚弥「最強を証明していくだけ」今後の展望とは
7日に行われたWBSS決勝戦。井上尚弥(26=大橋)が世界5階級王者のノニト・ドネア(36=フィリピン)を3-0の判定で下し、トーナメント優勝を果たした。
試合後のヒーローインタビューで、井上はある王者の名前を出した。WBC王者のノルディ・ウーバーリだ。
ウーバーリについて
井上が優勝したワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)は、階級最強の選手を決めるトーナメントだ。
ボクシングでは4つの主要団体(WBA・WBC・WBO・IBF)が存在し、それぞれが認めた世界チャンピオンを認定する権利を有している。
つまり、同じ階級に4人の世界チャンピオンが存在する。
だが、どの王者が一番強いかは明らかではない。
今回のトーナメントでは、同じ階級の王者と上位ランカーだけが参加できる。
しかし、それに参戦しなかった王者がいる。WBC王者のノルディ・ウーバーリ(フランス)だ。
ウーバーリは、今年の1月にWBC世界バンタム級王座決定戦でルーシー・ウォーレン(アメリカ)に勝利して世界王者になった。
トーナメント開催中に王者になったため、出場していなかった。
元オリンピアンで、北京五輪(2008)ロンドン五輪(2012)に出場した経験もある。
11月7日の試合では、井上の弟で暫定王者の拓真とWBCバンタム級王座統一戦を行い、4R目にダウンを奪い判定で勝利した。
技巧派のサウスポーで、体に厚みがあり、スタミナもパワーがある手強い相手だ。
井上は試合後のインタビューで「拓真の仇を取りたい。ウーバーリと統一戦をやりたい」と話した。
バンタム級最強の証明へ
井上は「自分のパフォーマンスを発揮できる階級で戦う。バンタム級で充実した戦いをしていきたい」と話している。
そのため、しばらくは、バンタム級で戦い続けるようだ。
今回の試合を経て、バンタム級の勢力図はこのようになった。
WBA スーパー&IBF 井上尚弥
WBC ノルディ・ウーバーリ(フランス)
WBO 正規 ゾラニ・テテ(南アフリカ)
WBO 暫定 ジョンリル・カシメロ(フィリピン)
WBOの正規王者のテテと暫定王者のカシメロは、11月30日イギリスで対戦する。
井上とウーバーリの対決も期待されるが、ウーバーリはWBCの指名挑戦者との対戦予定だ。
今月の23日にラスベガスで、前バンタム級WBC王者ルイス・ネリ(メキシコ)と前バンタム級IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)が指名挑戦者決定戦を行う。この勝者との対戦が義務付けられている。
そのため、井上の望む試合の実現は、まだ先になりそうだ。
また、この他にも元スーパーバンタム級王者で、五輪2大会金メダリストのギジェルモ・リゴンドーがバンタム級に下げてくる。
井上の存在で、バンタム級にライバルが集まってきている。
トップランク社と契約
また、井上はアメリカの、大手ボクシングプロモーション会社のトップランク社との電撃契約も発表された。
トップランク社には、村田諒太や伊藤雅雪などの日本人選手も契約している。
また、パウンド・フォー・パウンドランキング(全階級を通じての最強ランキング)で常に上位に名前が挙がる、
テレンス・クロフォード(アメリカ)やワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)なども契約している。
過去には、モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナード、フロイド・メイウェザー・ジュニア、オスカー・デ・ラ・ホーヤ、などレジェンド達が名を連ねる。
今後の2試合は米国開催になる予定で、次戦は来年にアメリカで行われる見通しだ。
いよいよ本格的な世界進出がスタートする。
井上は「ここまで来たら最強を証明していくだけ」と自分の想いを語った。
また、今回のドネアとの試合で、右目眼窩底と鼻の骨折と重傷を負っていたことが判明した。
手術の必要はないようだが、しばらくは怪我の経過をみて、練習再開や米国での次戦の時期を判断するようだ。
じっくり静養して、万全の状態でリングに戻ってきてほしい。
日本で試合が見られる機会が減るかもしれないが、世界を股にかけて活躍していってほしい。