今年の確定申告は一斉窓口で相談できない場合も 申告が必要な人と注意点は?
今年も確定申告の時期が近づきました。令和2年分の確定申告の申告・納付期限は、所得税および復興特別所得税・贈与税は3月15日(月)まで、消費税および地方消費税(個人事業者)は3月31日(水)まででしたが、緊急事態宣言の延長を受け、国税庁はいずれも4月15日(木)まで期限を延長すると発表しました。
例年、確定申告シーズンには各地で確定申告の相談会が開催されますが、今年は新型コロナの影響でオンラインでの電子申告が推奨されています。
税務署等の確定申告会場は、新型コロナウイルス対策を講じて開設しますが、確定申告期間中は大変混雑することからいわゆる「3密」が発生しやすい状況となります。そのため、確定申告会場への来場者に対しては、入場整理券による混雑緩和が行われる予定となっています。整理券は当日会場で配付されるほか、国税庁のLINE公式アカウントから事前発行も行われる予定となっています。
例年とは異なるフローになる以上、例年よりも時間に余裕を持って準備をする必要があるでしょう。来場しても、例年のような相談窓口での相談はできないというケースも発生します。ご自身の安全安心のためにも、以下で紹介する信頼できるサイトの情報などを参照に、早めに申告の準備を行い、スマートに済ませていただければと思います。
確定申告の流れ
オンラインでの電子申告でも会場で確定申告をする場合でも、事前準備が必要となるため早めに準備をしましょう。
電子申告の場合、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の選択をすることになります。事前に準備するものやパソコンの利用環境などがそれぞれの方式で異なります。
マイナンバーカード方式についてはマイナンバーカードとマイナンバーカード読取対応のスマートフォンまたはICカードリーダライタを利用してe-Taxができます。
ID・パスワード方式に関しては税務署で発行されたID・パスワード方式の届出完了通知を利用してe-Taxが可能。マイナンバーカードやICカードリーダライタなどは不要です。
詳しくは国税庁の確定申告特集をご参照ください。
やむを得ない理由から会場に行く場合は予め必要書類を確認し、漏れのない状態で行きましょう。必要書類等はホームページから調べることができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/nyujo.htm
また、申告書や手引きなどは下記のサイトから入手可能です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/yoshiki.htm
ちなみに医療費控除に関しては平成29年分の確定申告から領収書の代わりに「医療費控除の明細書」の添付が必要となっています。こうした必要書類も自宅で作成していくことで当日の混雑を緩和させることができます。
申告書を作成している上で質問がある場合は、タックスアンサーの「よくある税の質問」やチャットボットから調べることができます。
どうしても解決しない場合は最寄りの税務署に電話でお問い合わせをすることもできます。しかし、確定申告期は混雑が予想され、電話がつながりにくくなるためにできれば避けたいところです。
会社員で確定申告が必要な3つの代表的ケース
さて、会社員だから確定申告は関係ないと思っている人も多いかもしれません。年末調整済みの会社員の場合、確定申告の必要のない場合も多いです。しかし、会社員でも給与の他に一定以上の所得があって申告をしなければならないケースがあります。
会社員でも確定申告をしなければいけない場合は主に次の3つのケースです。
ケース1:給与の年間収入金額が2000万円を超える人
ケース2:1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得(退職所得)以外の所得の合計額が20万円を超える人
ケース3:2か所以上から給与の支払いを受けている人で、メインの給与以外の給与(収入金額)とその他の所得(給与・退職所得以外)の金額の合計額が20万円を超える人
ケース2に当てはまるという人は多いかもしれません。マンション投資、副業、仮想通貨取引などをしていて、一定以上の利益が出ている方などは注意が必要です。
副業・兼業を行い、20万円を超える副収入がある場合は、企業による年末調整だけではなく、個人による確定申告が必要になります。ちなみに20万円は所得ベースなので必要経費を引いた後の所得になります。ブログなどの著述業をしていて副収入があるというケースだと、一般に雑所得もしくは事業所得となります。
ネットオークションやフリマで得た収入も雑所得となる場合もあります。売上から仕入れや経費を除いて得た所得が20万円を超えると申告が必要になるからです。業者のように安く仕入れて高く売るなどの売買をして利益を得ているという人は注意が必要になります。
販売した物が、洋服、家具、食器など自宅にあって使わなくなった物の場合には、生活用動産として所得が20万円を超えても確定申告の必要がない場合もあります。他方で、宝石、貴金属、アートなどの場合で1点が30万円を超えると、経費を引いた後の所得は原則として課税対象となります。
マンションを貸しているなどで不動産所得がある人も申告が必要です。取引をした業者などで税金のサポートや専門家の紹介を受けられる場合もあるようなのでご確認ください。
また、仮想通貨取引で利益が出た場合は雑所得となり一般に申告が必要です。株式の売買の場合、日本国内の証券会社等で源泉徴収される口座で売買をしていれば基本的に申告の必要はありません。しかし、源泉徴収されない口座での取引や仮想通貨や金の取引等に関しては一般に申告の必要があるため注意してください。
暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)
その他、パートの掛け持ちをしているという人も、ケース3に当てはまる場合は確定申告が必要になってきます。例えば、メインの会社で80万円の収入があって、もう一つの会社でも収入が50万円あるといったケースなど。サブの会社の収入が少ない場合も、その他の所得(例えば、不動産所得など)を合わせると20万円以上になる場合は申告が必要になります。
会社員だしそんなに金額も大きくないから自分は大丈夫と思うのは禁物です。メルカリや仮想通貨などによる収入に対し税務調査が入ったという事例の記事をよく見かけますし、税理士からの話でも聞くことがあるからです。
専門家に相談をしたい場合は
専門家に相談をする場合は税理士や税理士資格を有するファイナンシャル・プランナー等に質問をするとよいでしょう。下記サイトから最寄りの税理士を検索することができます。
なお、申告義務のない還付申告は5年間提出することができます。例えば、年末調整済みの会社員が医療費控除やふるさと納税により還付を受けたいという場合は必ずしも急いで行う必要はないということです。5年の間であれば提出ができるため感染が落ち着いてから行うこともできます。電話でのお問い合わせに関しても確定申告期以外であれば比較的つながりやすく質問をすることも可能です。
新型コロナの影響によって令和元年分の確定申告がまだの方は令和2年分の確定申告を行うまでに行うか、令和2年分と同時に行う必要があるようです。災害その他でやむを得ない理由と認められる場合を除いては原則期限後申告として取り扱われ、無申告加算税・延滞税が課される場合があります。確定申告は期日までに行うようにしましょう。
また、新型コロナウイルス感染症への対応や当面の申告や納税などに関して寄せられている質問等をFAQでまとめられている国税庁のサイトもあります。こちらもぜひご参照ください。
国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税など当面の税務上の取扱いに関するFAQ
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】