ヤマダ電機のクレジットカード情報流出事件、「セキュリティコードを保存」の誤解広がる
ヤマダ電機が5月29日にクレジットカード番号が流出した恐れがあると発表した件において、同社に対し「セキュリティコードを保存していたのか」と誤解にもとづく批判が広がっています。
原因はアプリケーションの改ざんによるもの
発表によると、流出した恐れがある情報は「クレジットカード番号」、「有効期限」、「セキュリティコード」の3つです。
かなりクリティカルな漏洩であり、「セキュリティコード」まで含まれていたことから「保存が禁止されているセキュリティコードを保存しているなんて!」という批判につながっているようです。
しかし、漏洩原因はデータベースへの不正アクセスではなく、ペイメント(決済)アプリケーションの改ざんです。
念のためヤマダ電機の広報部にも確認を取りましたが、やはり同社では「セキュリティコードを保持していない」とのことでした。
誤解が広がった原因は報道によるもの
では、なぜヤマダ電機の発表内容に「ペイメントアプリケーションの改ざんが行われたため」とあるのに、このような誤解が広がったのでしょうか?
筆者はマスコミによる報道内容に原因があると考えています。
いくつか例として取り上げてみます。
NHK
朝日新聞
読売新聞
日経新聞
どの報道でも「不正アクセスによるクレジットカード情報の流出」については伝えていても、どのような不正アクセスだったのかは説明していません。
そのため、これらを読んだ読者は普通に「不正アクセスでデータベースから情報が抜き取られたのだな」と受け取ってしまいます。
これでは「大手家電量販店でも禁止されているセキュリティコードを保存するような行為をしている」といった誤った認識が広がってしまいます。
また、肝心の「ページの改ざんに注意しなければいけない」ことも伝わりません(今回はアプリが改ざんされていたため、利用者の目から気付けるかと言えば無理なのですが……)。
この記事で「セキュリティコードを保存していた」との認識は誤りだということが少しでも伝われば幸いです。
1ヶ月以上、公表しなかったのは問題
蛇足というか一応書いておきますが、ヤマダ電機が4月16日に情報流出の恐れがわかってから1ヶ月以上先の5月29日まで公表しなかったのは大きな問題だと筆者も考えています。
この記事は「セキュリティコードを保存していた」という誤解が広がった結果、ネットユーザーが必要のない不安に襲われることを抑えることを目的としているだけであり、ヤマダ電機のクレジットカード情報流出を擁護するものではありません。
こういうこと書いておかないとなんかめちゃくちゃ文句言われるので、すみませんが書いておきます。