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NATO会議に同行中 韓国大統領夫人金健希氏は何者? "美魔女"は自身の整形ぶっちゃけも

(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

チラッと日本の地上波ニュースにも映ることがあるのではないか。

韓国の尹錫悦大統が、夫人とともにスペインを歩く姿が。

29日、30日に開催中のNATO(北大西洋条約機構)首脳会談に参加する韓国尹錫悦大統領。開催地のスペインで日米韓首脳会議が開催されることもあり、日本でも29日午前のニュースからポツポツと報じられ始めている。

大統領とともに映るキム・ゴニ夫人、61歳の大統領より12歳若い。

写真:代表撮影/ロイター/アフロ

2019年8月27日のメディア初登場時からメディアで騒がれる存在でもある。当時検事総長だった尹錫悦氏の式典に同伴。「最高級の美貌」「年齢が信じられない童顔」などと報じられた。

韓国では影響力が強い存在なのだ。陣営の重要なキャラクターにもなっている。ファンクラブが存在し、「誰に会った」「どんなファッション、カバンを身に着けていた」が報じられている。

彼女は一体何者なのか。

美しく、そして只者じゃない。毒がある。

自身の猛烈なスキャンダルを経て、結果的には夫の大統領選「勝因」のひとつになった。より正確にいうと「敗因」にもなり得たところを、ギリギリで勝者となったのだ。

大統領選では「自身のスキャンダル」で大騒動

1972年9月2日生まれの49歳。

漢字名は「金健希」。一部メディアでは「ゴンヒ」とも報じられるが、これは「ゆっくり呼ぶ場合」の発音。現地音には「ゴニ」がより近い。08年に「ミョンシン」から改名した。

正体は何なのかというと、文化・芸術コンテンツを制作・投資する会社「コバナコンテンツ」の代表取締役。

ただし現在同社は休業状態ゆえ「大統領ファーストレディー」の役割に専念している。

提供:The People Power Party/Lee Jae-Won/アフロ

2012年、同社の取締役を務めていた頃に検事として活躍していた尹錫悦氏と結婚した。本人は39歳、夫は51歳の年の差カップルだった。その後、地方勤務だった夫とともにソウルを離れて地味な生活も経験していたが…

2021年6月末の夫の大統領選出馬で運命が変わる。「細かい点を放っておかれなかった」のだ。経歴詐称の疑いをかけられ、同年12月には謝罪会見にまで追い込まれたのだ。

・過去の美術教師、大学教員、ソウル大学大学院のコース、美術関連の賞受賞などの経歴に違いがあった。

・2010年~13年には韓国のBMW輸入代理店「ドイッチェモータース」の株式不正操作の疑いで検察から捜査を受けた。

「余談」もメディアで報じられた。

・ジュリという名で接待型の遊興飲食店で働いていた。

・夫との出会いが謎。本人は「知人のお坊さんの紹介」とするが、「合コン」説が絶えない。

「アートから経営までを知る美しい女性」のイメージはぶち壊し。

のみならず12月17日には党側から「釈明は早ければ早いほどいい」と勧告が入った。大統領候補に近い人物に関するスキャンダルは選挙結果に悪影響を及ぼしかねない。「ウソをついてのし上がり、特権を得る」という構図は、韓国で近年、最悪の"地雷"である「社会での公正性」を踏みかねなかった。

これを受け、12月26日に党本部で記者会見を開催。「対国民謝罪会見」として党の名前の下に行われたが、ここでの”仕掛け”は失敗に終わった。

冒頭部分で「旦那との出会い」を「検事の要職にあったが、思った以上に優しくしてくれた」などと延々と話したのがマズかった。結果、「国民に謝っているのか、旦那に謝っているのか」と猛批判を浴びたのだ。

その後さらなるピンチ

さらに良くない出来事は続く。1月17日に、敵陣たる左翼系メディア「ソウルの声」が地上波MBCにネタ提供した番組が放映された。

「そこまでの電話取材内容のオフレコ部分」

キム・ゴニ夫人は夫の大統領選挙中、相手陣営を応援するメディアの若い男性記者を「手なづけて」いた。

度々かかってくる電話に対応。取材には応じないものの、雑談は繰り返していた。この7時間分の内容を相手が録音していたのだ。そして「バラされた」。

・私たち夫婦は早く引退してただ早くに楽に暮らしたかったの。(検事総長時代)かなりキツかったから。大統領候補になるなんて、誰が想像した? 

・あなた記者をやめて、こっち(保守陣営の選挙スタッフ)として来てよ。情報(担当)やって。給料は1億ウォンだってあげていいわよ。

・左派のやる#MeToo運動はお金をかけないからバズらない。

・朴槿恵を弾劾したのは、(味方だった)保守なのよ。進歩(革新)じゃなくて。馬鹿な人達は進歩系が弾劾したと思っているけど違うわ。保守のなかの(反朴槿恵派が)弾劾したの。

・一部左派メディアの記者は私が青瓦台に行って全部監獄にぶちこんでやるわ。

終わったな。大統領選、勝負あり――。

に見えたが、違ったのだ。

まさかの「逆転劇」 確信犯だった?

ここからの「逆転」が猛烈だった。只者じゃない。

なんと「発言が潔い」として、逆にファンが増えたのだ。

彼女の私設無料ファンクラブサイトの会員が数百人レベルから一気に6万人規模にまで激増。サイトのメイン写真は映画の主人公の顔を差し替えるおふざけノリだったが、これがメディアでも次々と報じられた。

これは彼女の「確信犯だった」という説もある。東亜日報系のニュース番組「Aチャンネル」は「尹錫悦候補の熱烈な支持者の動きでしょう」とし、こんな分析を続けた。

「彼女も記者たちを利用したのではないか。記者との電話取材の内容はある程度公表されうると読んでいたのではないか?」

現に、昨年12月には同じく左派系(つまり敵陣の)「オーマイニュース」に対し、「整形疑惑」に答える「手土産」まで渡している。

「目を整形したのよ。もともと二重だったんだけど不揃いで。大学時代に親戚の友人の病院で再建手術をした。『高校の卒業写真と違う』なんて言われてるけど、まああのときは眩しくて目をちょっとつぶってしまったというところね」

そんな姿に、夫も一時は彼女のスキャンダルに「参ってる」といわんばかりだった。2月中旬には一言「結婚したことは後悔していない」と振り絞るのが精一杯という状況もあった。

大統領選挙に勝利後は「公式行事への参加はいつ?」という点が注目を集めた。「ファーストレディーにふさわしくない」という批判はやはり絶えないからだ。

写真:代表撮影/ロイター/アフロ

6月には歴代大統領夫人への挨拶、国内への式典への同席があった。そして今回のNATO首脳会談への行きの飛行機で、同乗した国内記者団に初めて挨拶したのだという。

批判は人気の証拠でもある。このニュース動画は軒並み20万アクセスを突破。支持率低下に悩む尹大統領陣営を「支えて」いる面もあるのだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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