デモクラシー(民主主義)とは?(2)・・・政治・政策リテラシー講座2
先の記事にも記したように、デモクラシー(democracy)は、人民(国民、市民など)が支配し、社会や政治の方向性などを決定していく政治制度です。そして、それを運営していくのにとても手間とコストがかかる、面倒な仕組みなのです。
ということは、その社会の支配をする私たち自身が、面倒と思って、社会に関心を失ったら、回らない政治制度なのです。別のいい方をすると、私たちが、社会や政治に関心をもたなくなったり、愛着をもっていかない(つまりLoveですね)と、実はうまく回らない仕組みなのです。つまり、デモクラシー(民主主義)は、生活し住んでいる住民や国民などが、自分の住んでいる地域や国・社会に対して関心や愛着をもち、それらを良くしたい、あるいはより良い場所にしたいという気持ち(つまりヴィジョン)をもっていることが必要であり、大切なのです。
また、デモクラシー(民主主義)の仕組み考えると、三権分立についても語られることが多いと思います。三権分立は、国家の権力を、法律を制定する「立法(権)」、法を適用して争訟などを解決する「司法(権)」、法のもとに公共の目的を実現する「行政(権)」の3つに分けて、相互にチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)をさせ、その権力の濫用を防いでいこうという原理を意味しています。日本では、立法権は主に国会、司法権は裁判所、行政権は主に内閣などによって行使されています。
このような三権分立の問題が、デモクラシー(民主主義)を考えるときに、なぜ語られるかといえば、多くの国や社会では、間接民主制あるいは代表民主制をとっているからです。それらは、選挙で選んだ自分たちの代表が、司法や行政の活動の源泉でもある法律の制定を行う立法権などの行使を行っている制度を意味します(注)。
このことは、次のように考えることができます。
国・社会を支配している人民は、いつも政治や政策など権力の行使をしていることができません。そこで、自分の代表に、自己の権力を渡して、代わりに代行してもらっているのです。その渡した権力が肥大になり、濫用されないように、3つに分けてチェック・アンド・バランスを取らせているのです。
しかし、それでも万が一権力が濫用されたり、あるいは濫用されそうになった場合に、その権力に対してチェック・アンド・バランスできるのは、最終的には人民であるというのが、デモクラシー(民主主義)なのです。私たち国民・有権者は、そのことを自覚する必要があります。
またこのように考えていくと、デモクラシー(民主主義)、特に代表民主制において、国民や有権者は、単に選挙で投票すればそれで終わりということではないようです。政府や政治に対して、批判精神と社会の方向性への期待や希望を持ちながらも、単に非難や批判をするだけでなく、場合により働きかけ、場合により社会の問題解決などの行動を起こすことも必要であると考えることもできます。
デモクラシー(民主主義)は、それを構成する人々である国民や市民などのLove
とVision(愛とヴィジョン)が必要な政治制度なのです。
ぜひこのような視点から、日本の現代のデモクラシー(民主主義)について考えてみてください。
(注)このことは、日本国憲法の第41条で、「国会は、国権の最高機関」であると定めていることとも関係しています。