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アルゼンチン人コーチが語る「明日のワールドカップ3位決定戦」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
クロアチアのエースであり、キャプテンのモドリッチ(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、アトレチコ・マルテ(エルサルバドル1部リーグ)所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、明日行われるワールドカップ3位決定戦、クロアチアvs.モロッコ戦について語った。

撮影:筆者
撮影:筆者

 アフリカ勢初のベスト4入りを果たしたモロッコの躍進は、今回、目を見張りますね。準決勝でも、フランスが攻めている時間帯が長かったのは事実ですが、いい攻撃を見せていました。

 開始5分で先制されたモロッコは、21分にキャプテンで背番号6のCB、ロマン・サイスがケガでピッチを去りました。あれが響いたと思います。彼は188cmと高さもあって、守備の要ですから。サイスが本調子だったら、真ん中を破られて失点することは無かったんじゃないかな。準決勝まで、失点1だったでしょう。実に強いDFですよ。

写真:ロイター/アフロ

 前半終了間際にモロッコのDF、18番のジャワド・エル・ヤミクのオーバーヘッドがポストを直撃しました。惜しかったですね。

 圧倒的にフランスがゲームを支配していた訳ではなく、モロッコの頑張りも目立ゲームだったと思います。

写真:ロイター/アフロ

 僕がスペインリーグでプレーしていたのは1987年から1989年の2年半ですが、既に多くのモロッコ人選手の存在がありました。北アフリカに位置するモロッコとスペインは近いんです。2部リーグには2つのモロッコのチームが参加しており、アウェイのゲームでモロッコまで行きましたよ。元々スペインの植民地だった地域です。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 モロッコは当時から若年層の育成が良かったです。特にドリブル。相手にボールを取られない力が備わるように指導していました。それプラス身体能力があるでしょう。ヨーロッパに近いから、才能のある選手はビッグクラブの下部組織に入って成長することが出来るんですよ。今回のモロッコ代表メンバーは、そんなタイプばかりですよね。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 DFの背番号2、アクラフ・ハキミなんて、パリ・サンジェルマンで活躍中です。メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペのチームメイトですよ。アフリカはナイジェリアやカメルーンという強豪がいますが、いつかこのくらいまで勝ち進むんじゃないかという気持ちは持っていましたね。

写真:ロイター/アフロ

 モロッコがフランスに敗れた最も大きな要因は、キャプテンであるサイスのケガ。その次が経験の差です。明日の3位決定戦も、いい戦いを見せてくれるでしょうが、経験を武器にしたクロアチアが勝つように僕は感じます。

写真:森田直樹/アフロスポーツ

 37歳で4度目となるルカ・モドリッチにとって、ワールドカップ最後のゲームになるでしょう。言うまでもなく、彼は世界最高峰のプレーヤーです。必ず、何かやってくれますよ。その姿を目に焼き付けたいですね。

 そしてモロッコもモドリッチと戦うことで、多くを学び、将来に繋げるだろうと思います。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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