日本海側で大雨警戒!災害の目安は「降水量」ではない…大雨時に後悔しないため見るべき情報は?予報士解説
1日は全国的に雨が降り、特に日本海側では2日(火)・3日(水)にかけて災害につながるような大雨になるところが出てきそうです。
気象予報士として仕事をしているとよく、「何ミリ降ったら危ないの?」と聞かれますが、そもそも災害が起きるかどうかは降水量で決まるわけではありません。
梅雨末期に知っておきたい、大雨時に見るべき情報を解説します。
前線に暖湿気流入で滝のような雨に
1日は午前中は日本海側で、そして午後は太平洋側で雨がピークになるところが多いでしょう。
日本海側の沿岸にぴったり沿うようにかかる梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が大量に流れ込んで、西日本や東海・北陸のあちこちで激しい雨になりそうです。特に、近畿と東海では一部、「滝のような雨」と言われる非常に激しい雨が降るおそれがあります。
1日夕方までに予想される降水量は九州北部・東海・近畿で200ミリ以上、さらに2日・3日にかけても100ミリを超えるところが多くなっています。
しかし冒頭でも触れたように、この数字そのものが災害に直結するわけではありません。どういうことでしょうか。
ふだん降る雨の量、これまでに降った雨の量
今回、たとえば1日夕方までの予想降水量は、東海で200ミリ、東北で180ミリとなっていますが、これで東海の方が東北より災害の危険度が高い…ということではありません。なぜならこの時期、平年の降水量は東海の方が多く、東北の方がより大雨に「弱い」と言えるからです。
さらには今回、東北ではすでに6月30日の時点でまとまった雨になっていて、そこへ上乗せされるように雨が降るため、さらに危険性は高まります。
また、九州はもともとこの時期に雨が多い地域ではありますが、今年の場合はすでに先週までにもたびたび大雨となっているため、ふだんよりも災害は起きやすくなっていると言えます。
では、降水量の数字だけで危険性がわからないのであれば、何を参考にすればいいのでしょうか。
危険性を具体的に教えてくれる「キキクル」
降った雨がどのくらい災害につながろうとしているのか、それを教えてくれるのが気象庁HPの「キキクル」です。これは、土砂災害、浸水害、洪水について、地図上で1キロ間隔の細かさで現在の危険度を教えてくれるもの。スマホの地図アプリと同じように、拡大したり現在位置を表示したりできます。
この「キキクル」で黄色になっているのは注意報レベル(=レベル2)、赤色になっているものが警報レベル(=レベル3)です。そしてレベル4の紫色になった時点で安全確保が必要になり、レベル5の黒色はすでに災害が起きている可能性が高い状態になります。
自分の住む場所が赤色になった時点で、紫色になったらすぐ避難などの安全確保をする準備をしておき、いざというときに焦らないですむようにしましょう。
続く大雨に警戒
今回の雨は長引く傾向で、2日(火)には中国地方、そして3日(水)には北陸地方を中心に雨の量がさらに増えそうです。
また、予報にまだブレがあるものの、4日(木)には再び東北で大雨になるおそれが。いったん雨が弱まっても油断することなく、最新の情報を手に入れていつでも避難行動が取れるようにしておいてください。
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