シリア:フール・キャンプにおけるイスラーム国の「最重要指導者」と目されるイラク人が拘束される
クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いハーワール・ネット(ANHA)によると、シリア民主軍に所属するテロ撲滅部隊(Yekîneyên Antî Teror、YAT)は4月5日、ハサカ県東北部にあるフール・キャンプ(「アルホール難民キャンプ」とも呼ばれる)で、イスラーム国の「最重要指導者」と目される男性1人を拘束した。
フール・キャンプでは3月28日、北・東シリア自治局内務治安部隊(アサーイシュ)が、シリア民主軍所属組織とともに、イスラーム国のセル摘発と治安回復を目的とした「人道と治安」作戦を開始し、4月2日までにセル責任者、キャンプ内での殺人事件の首謀者ら20人を含む容疑者125人を拘束し、作戦の第1段階を完了していた(「シリアのクルド民族主義組織がイスラーム国メンバーの家族を収容するフール・キャンプで治安回復作戦を開始」を参照)。
シリア民主軍は、PYDが創設した民兵組織、人民防衛隊(Yekîneyên Parastina Gel、YPG)を主体とする武装組織。米国が主導する有志連合の支援を受けて、2014年半ば以降、イスラーム国の支配下にあったユーフラテス川東岸地域(ジャズィーラ地域)のほとんどを手中に収めた。シリア民主軍の制圧地の自治を担うのが、北・東シリア自治局である。
4月5日に拘束された「最重要指導者」の名は、アフマド・ハーシア(通称アブー・ハーリド)。ハーシア氏は1992年生まれで、イラクのアンバール県出身。YATは「人道と治安」作戦によって拘束した容疑者に対する聴取から得た情報をもとに、キャンプ内の居場所を突き止め、拘束に至った。
フール・キャンプの概況
フール・キャンプは現在、北・東シリア自治局傘下のキャンプ管理局によって管理・運営されており、60,351人(16,404世帯)を収容している。
その内訳は、イラク難民30,738人(8,256世帯)、シリア人国内避難民(IDPs)21,058人(5,619世帯)、イスラーム国の外国人メンバーの家族(女性、子供)8,555人(2,529世帯)。